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ドユン side
気づいた時には縁談の話も進んでおり、断る事なんてできない。
だって俺は自分の店を持ちたいから。
自分の店を持つなら、目の前のこの女性と契りを結ばなきゃいけない。
ならもう従うしかない。
もう疲れた、何でもいい。なんでもいいや、全部。
ドユン「最近はもうケーキを作る時、作業にしか思えないんだよ。誰が食べるかなんかどうでもいい。どんなケーキが出来上がるのかもどうでもいい。早く終わればいいって思ってる」
最悪だ。この子にこんな言葉聞かせちゃいけないのに。
俺はいつだって“カッコよくて優しいオッパ”じゃないとダメなのに。
『…2回目にオッパが作ってくれたケーキ、スポンジは固いし生クリームだってデロデロだったしフルーツの切り方なんて歪でお世辞にも綺麗なんて言えなかった。初めて作ってくれた既製のスポンジに生クリームを乗せたケーキも美味しかったけど、オッパが私のために自分で1から試行錯誤してくれたのが本当に嬉しかった』
ドユン「…あんな下手なケーキ、今すぐ忘れろよ」
『忘れないよ。絶対忘れない』
ドユン「なんで」
『私の宝物だから。オッパと過ごした時間も、オッパが作ってくれたケーキも全部宝物だから』
俺はいつもAを助けてるようで、助けられてるのは俺の方だった。
下を向いてしまいたくなる時、いつも上を向かせてくれたのはいつもAだった。
ドアの鍵部分に何かが当たって壊れる音が響く。
ドカッと無理矢理開かれた扉の先には、俺の大好きな妹が泣きながら立っていた。
『オッパ、無理しないで。そりゃ夢を叶えるのも大切だけど1番はオッパが幸せになることなんだから、こうやって自暴自棄になって未来のために自分が傷つく選択をしないで』
ふわりと香る懐かしい匂い。
いつこんなに大きくなったんだろう、いつからこんなに力強い子に育ったんだろう。
自分でも肩の荷が降りていくのが分かる。
張り詰めた緊張が解けたのか、やっと泣けた。やっと涙が出て来た。
ドユン「…お前のために店が欲しかった。そうすればいつでも俺の所に戻って来てくれるって…」
『店が無くても会いに行くに決まってるじゃん。私はオッパの妹なんだから』
寂しかったのかな
お前が離れて行くのが。スアの元に行ってからさらに成長して行くAに、置いて行かれるのが怖かった。
妹離れが出来ていなかったのは俺の方だったのかもな。
その日、俺は何年ぶりかに大泣きした。
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よん(プロフ) - 素敵な作品で一気に読んでしまいました！更新楽しみにしています！！ (4月2日 18時) (
レス) @page34 id: 17dcf2bc33 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - 更新楽しみにしてます！！ (12月2日 0時) (レス) @page34 id: 70f217a4be (このIDを非表示/違反報告)
犬飼いたい(プロフ) - 更新ぜひ..！！よろしくお願いします！！ (8月8日 0時) (レス) @page34 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 続きが気になりすぎます！！更新楽しみにしてます (7月27日 21時) (レス) @page34 id: 697dde3f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 一気見してもうハラハラして次が待てませんんんん！うそです、無理しないでゆっくりでいいので更新待ってます！ (7月2日 4時) (レス) @page34 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すい
| 作者ホームページ：http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時：2022年9月24日 20時
