元殺し屋はヒーローになる14 (ページ41)

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活真の元へ向かっていくナインに威嚇のために照準を合わせて1発放つ

ガウンという銃声が響き渡った時、振り返ったナインがハッとした

『ゲームオーバーだよ、ナイン』

私たちに食らい付いていたはずの使い魔が目の前の砂煙の中から現れ、苦しそうに奇声とともに砂のように崩れ散った

「チッ……人使いが荒い奴だ」

上空で何かそう呟いたモノに、『ありがとう』と口パクで礼を伝える

「なんだ……」

靄の中、もう力を振り絞ることも踏ん張ることもできない私を爆豪が抱き抱えて着地した

突如起きた異変にナインが砂煙を振り払いながら警戒する

ゆっくりと私をおろした爆豪は「寝てろ」と小さくそう吐き出した

「……こんなことして、てめーは使えんのかよ？」

「……わからない……でも、オールマイトは譲渡したあとも残り火で僕らを守ってくれた」

残り火で死に物狂いで宿敵オール・フォー・ワンを倒したあの姿
そしてオールマイトは火が消えた今も、偉大なヒーローであることは何一つ変わらない

何も変わらない事実

「なにをしたぁ!!!」

苛立つナインの怒号が響き渡る
力尽きたはずの私たちヒーローから強烈なパワーがみなぎっていた

激昂しプラズマを纏うナインに、緑谷と爆豪は身構えながら言った

『……２つの、ワン・フォー・オールで…………』

「これで救ける！」

「これで勝つ！」

全身に行き渡ったエネルギーで2人の髪が逆立ち、剥き出しの闘志にナインが咆哮した

「この死に損ないがああああ!!!」

怒りのまま再び発生させた竜巻はあっという間に巨大化し、周囲に嵐を撒き散らす

暴風雨が吹き荒れ、木や崩れた岩山を吹き飛ばす

落雷から火災が起こり、何本もの火柱が踊り狂う

巨大竜巻はさらに大きくなって那歩島の本当まで及び、瓦礫を巻き上げながら半壊の街並みをさらに破壊しつくす

海は荒れ狂い、渦巻く超巨大な雷雲は災いそのもの

『ハッ…まるで、世界の終わりだ』