元殺し屋はヒーローになる14 (ページ5)

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なんとか逃げないといけない、だけど逃げれない
くそ、くそ！

ああ……

(離せよ)

目が合ったのと同時に威圧するような瞳を向けた途端、まるで弾かれるようにナインから離れた

地面に倒れ、痛みに顔を歪ませ、早く治さねばと手を動かすのに、力が入らない

(奪えない。いや、《空きストック》に納まりきらない……
こいつ……潜在的に……“個性”を複数持っている…!?
そしてコイツからは………まだ何か)

なんとか立ちあがろうとするのに、狂わされた感覚のおかげで思うように動けない
動かないと、死ぬ、殺される

(この存在は脅威となる。ならば……排除するまで)

動け、動け、でないと死ぬぞ
叱咤して動かそうとする体に力を入れる
そうだ、早く動くんだ

動けず、どうすることもできない私たちにナインは片手を向けた
見えない空気の壁が私たちを土手へと激突させる
衝撃で土煙があがる

「っ……ぐっ……青子、さん…っ！」

『ゴホッ…空気の、壁に押された……！』

衝撃の時に口の中を切ったらしく、鉄の味が広がりプッと血を吐けば、コロンと口の中から白い歯が出てくる
抜けたらしく、血に染まっている

「デク…兄ちゃん……？」

「青子」

「青子、緑谷」

ここにいないはずの3人の声に頭の中が真っ白になる
土手の上に逃げていた3人がいた
遠くまで走れって言ったじゃん、何してんの、馬鹿なの？

3人は私たちの異変に気づき、斜面を降りてくる

『くんな、バカ!!』

「でも！」

『いいから早く逃げろ!! 死にてえのか!!! カルマ、さっさと2人連れて逃げろ!!』

「け、けど」

『いいから逃げろっつってんだろ!! 私の言うことが聞けないのか!? ヒーローの話聞けっつってんだよ!! 邪魔だ!! さっさと逃げろ、馬鹿野郎!!!』

心配してさらに近づいてきたカルマにそうきつく怒鳴りつけながら、激痛に耐え体を起こし目標を睨みつける

太陽が沈んでいくにつれて、歩いてくるナインをさらに睨みつけ殺意を混みあがらせる

『アイツが狙ってるのは活真の“個性”だ』