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“私の“個性”は聖火の如く引き継がれてきたものなんだ…
力を譲渡する“個性”……”
私の提案は、ワン・フォー・オールの譲渡だ
小刻みに震えながら伸ばされた指先は血で濡れている
ワン・フォー・オールを譲渡するには、譲渡する意志とともに相手にDNAを取り込ませなければならない
つまり、血の中のDNAで爆豪にワン・フォー・オールを譲渡する
爆豪は刹那の中で想いを巡らせた
その力の存在を知っても、爆豪は欲しいとは思わなかった言ったこともなかった
自分には必要な力は備わっている
トップに立てるだけの力が、自分に備わっている
だけど緑谷には？
幼い頃の、川に落ちた自分に「大丈夫？」と手を差し伸べた自分の幼馴染
落下の時わずかに感じた恐怖を見抜かれた気がした瞬間から、それは嫌悪するべき存在に変わったと教えてくれた
得体の知れない気色悪さ
それは今でも残っていると
無個性だったのに真剣にヒーローを目指し飛び出す無謀さ
そしてせっかく手に入れた“個性”を手放す底抜けの愚かさ
一生かけても理解できないし、する気もない
彼は、私にそう小さく漏らしていた時があった
不本意だろう
だけど、その選択が最善で唯一の勝機なのだ
「か、かっちゃん」
“ヒーローは守るものが多いんだよ……だから、負けないんだよ”
「………デク……」
必死で指先を伸ばす緑谷と、覚悟を決めた爆豪も自分の指先を伸ばす
“ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの！”
守って勝つ
その唯一の方法だと信じて2人は指を伸ばす
震える指先が焦りでずれる
それでも必死で渡すために、受け取るために、互いを求める
触れ合った指先
緑谷の血が爆豪の傷へ渡ったその瞬間、爆豪の中に湧き上がる力があった
強く握りあった手に力がこもる
(少し、時間を稼ぐ…！)
軋む腕を使い魔から逃して、空から落ちてくる銃を手に取る
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2020年11月29日 0時
