元殺し屋はヒーローになる14 (ページ39)

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激痛に奪われそうな思考の中、勝利の糸口を必死に探す
手も使えない、身体の一部の自由も効かない

救援はいつだ

活真の“個性”は死んでも渡してはいけない

思考を止めるな、常に考え続けろ

使い魔がより深く食い込み、全身が悲鳴をあげる
どこまでも黒く広がる空の下、響いてきた

「デク兄ちゃん!!!」

「バクゴー!!!」

「「青子!!!/青子姉ちゃん!!!」」

『(ﾊｯ』

目を見開き、響いてきた守らなければならない子達の声に目だけを向ける
気を失った障子を介抱しながら叫んでいる

「デク兄ちゃーん!!! 青子姉ちゃーん!!!」

障子を“個性”で治そうとしながら、活真がもう一度私と緑谷の名前を呼んだ

「「負けないで!!!」」

ドクン、と心臓が動いた
その勇気を振り絞るような応援に、ひとつの名案が浮んだ

それをするもしないも2人(・・)の自由だ

「……そこにいたか……」

活真を見つけたナインが不敵な笑みを浮かべて近づいていく
焦りを見せる爆豪と緑谷に『2人、とも……！』と声をかける

振り向き、こちらを心配そうに見つめている緑谷と…柄にも心配しているような顔つきの爆豪がいた

タラーッと流れる血が使い魔に落ちる

『この…状況から、抜け出す方法が………ひとつ、だけ……たったひとつだけある』

すがるように声を出し、ゆっくりと顔をあげる
2人は眉を寄せていたけど、私が言わんとしていることを察知した

「「………!!!!」」

唖然とする2人に、私は『するもしないも、自由だ』と血を流しながら2人を見据える

『だけど……ッ！』

「「！」」

『私は……あのクソ野郎に…負けたくない……ッ』

「「……！」」

『協力、して……！お願い……！』

心の底から、お願いした
もう、ないだろうと思っていた

自ら懇願することなんて

2人は少し考えた後、緑谷はボロボロで傷だらけの左手を伸ばした

その光景を見て、偉大なヒーローの言葉が頭の中に思い浮かぶ