元殺し屋はヒーローになる14 (ページ29)

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遠のきそうな感覚を振り絞るように、キメラを見つめる

「せ………責務は……果たした……からな…緑谷………爆豪…………青子…………」

俺は離れた場所で戦っているであろう3人を思いながらそう呟くと、ふと影が刺した

「ホォ？氷で凍結させたってわけか…」

「だ………れだ…」

「………安心しろ、敵じゃねぇよ
よくやったじゃねぇか…エンデヴァーのガキ」

親父のことを知っている人物は全世界にいる
そいつもその中の1人だ。敵なのか味方なのか

「…寝てろ」

トン、と額に当てられた指に何故か安心した
スゥッと誘われるような眠気がきて、俺は「青子…」といとこを呼ぶ

NOside

「ライアンさん、どーっスか？」

「気絶した。凍傷出てやがる、毛布であっためろ」

「了解ッス。リア君の方も終わってるみたいッスね」

「あっちはガキに相手させときゃ終わんだろ」

男はペシペシと尻尾で地面を叩き、目の前に倒れている紅白頭の轟を見つめ、火傷に触れた

「こんな…クソガキが、でっけぇもん背負いやがって…世の中、狭いな」

「…ライアンさん、そろそろいくッスよ」

男はくしゃりと轟の頭を撫でた後、「精々足掻いて真実を受け入れろよ、クソガキ」と鼻で笑ってその場を離れた

轟の傍に落ちてあった落ち葉が、ザラザラと砂に変わっていきながら

青子side

ナインが活動時間限界を迎え始めているのが見えてきて、私たちは勝機を感じていたのだ

「かっちゃん、畳みかけるぞ！」

「命令すんな！」

『絶対倒す』

ここまで積み上げてきたものを、無駄にするわけにはいかない
ナインは激痛に身悶えながら「細胞活性さえ手に入れば……」と呟く

『あげるわけ、な…!?』

その時、ナインは服の下に着ていたダイバースーツのような全身を覆う火災制御装置を操作する
スーツの中から小さなボトルが肩口に突き出すと、中に入っていた液体がナインへと注入されていく

(ここで確実に……！)

『だめだ、戻れ!!』