元殺し屋はヒーローになる14 (ページ28)

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高出力の炎が切島を飲み込む
あまりの高音にコスチュームが瞬時に燃え落ちる中で切島は後ろの俺の盾になり、炎に耐えている

だが、強すぎる炎にバランスが崩れる

俺が切島の名前を叫ぶ前で、切島の超硬化した皮膚が熱で剥がれ始めた
それでも耐え続けていると、キメラの炎が消える

エネルギー切れで炎が枯れたんだ
切島が膝から崩れ落ちながら

「行け……」

と言った

俺は瞬時に氷柱を伸ばし、キメラへと飛んだ
その脳裏に憎しみしかなかったはずの親父の言葉が蘇った

“体の熱を限界まで引き上げろ”

だが、その体にあるのは氷の冷たさだ

(炎でできたことを氷結で!!!)

俺が攻撃を避けながら巨大な肩に着地するが、キメラが爪でかき殺そうとする
その腕脇の上から飛び降りた蛙吸が舌で拘束するが、今度は太い尻尾が俺へとムチのようにやってくる

それを飯田が残りの力を振り絞り蹴り返した
続けてすぐさま尻尾に飛び付き体で止める

「轟くん！」

飯田の叫びに俺はキメラの口の中へと右手を突っ込み、氷結を体の内部へと繰り出す
青子が言ってた攻撃だ

中からキメラを凍らせる
わずかな時間で溜まったエネルギーでキメラが炎を吐き出す

ぶつかり合う温度が水蒸気となり噴き出した
拮抗する温度に俺は奮起する

(下がれ、限界まで!!)

俺が意識を集中して体温を下げ続ける
発せられる冷気がキメラの炎を徐々に飲み込んでいった

体の異変にもがき苦しむキメラの体を飯田と蛙吸が必死に抑えるが振り回された反動で激突してしまい、2人とも気絶する

拘束を解かれたキメラだが、その動きはひどく鈍い
冷え続ける体の表面に霜が急速に広がっていく

それは俺も同じだ

俺たちから広がる冷気は火災で熱せられた地面も、空気でさえも凍らせていく

「凍てつくせ!!」

意識でさえ凍りそうな感覚の中で、俺が限界を越える
氷晶のような瞳と凛烈とした体の奥にある燃えたがる灼熱の闘志から噴き出した氷結が、キメラを内部から凍らせ、氷柱が溢れ出る

それを見て俺は力付き、地面に倒れ込む

「し、しばらく……冬眠してろ…」

完全に凍結したのを視界の端で確認する