元殺し屋はヒーローになる14 (ページ18)

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「テープショット:トライデント!!」

ナインの死角から瀬呂がたくさんの岩を貼り付けたテープをナイン目掛けて振り下ろす
その近くでタイミングを計っていた麗日ちゃんが両手の肉球を合わせた

「解除！」

重力の戻ったたくさんの岩が勢いに乗ってナインへと落ちていく
しかしナインは冷静に爪弾で落ちてくる岩を全て粉砕する

着地した瀬呂は麗日ちゃんに次の合図を出し、後方で走り出した麗日ちゃんを見る
次の瞬間、ナインを振り返った瀬呂がハッとした

『チッ！』

ナインの爪弾が自分に向けられているのに気づいた瀬呂は、咄嗟に木にテープを伸ばしてその場から逃げる

「瀬呂君！」

『麗日ちゃん、気にせず早く！』

次々と岩にタッチする麗日ちゃんにそう促し、必死に走りながらテープを伸ばす瀬呂を見つめる

次へまたナインへ岩の攻撃を続ける
さっきと同じく爪弾で粉砕する

『大丈夫…そのまま使わせればいい…撃ちまくれ』

NOside

「分断したところで」

穴から漏れてくる光で、ここが鍾乳洞だとわかるスライス

ヒーローの目論見を鼻で笑いながら辺りを見回した時、暗闇から液体がその頭上の天井へと飛ばされた

液体のかかったつらら石の根元が瞬時に溶け、次々に矢のように落下する

ハッとしたスライスが足場の悪い暗い鍾乳洞の中で軽々とつらら石を避けるともに、刃に変化させた髪で裂きながら鍾乳洞の奥へと移動する

鍾乳洞の陰から酸を放っていた芦戸に気づいたスライスは、靴の先に仕込んでいたナイフを放つ

「しくった」

ナイフに続けて針のように変化させた髪を放たれ、芦戸は慌てて後退する
追い詰めようとするスライスに暗闇から鋭い鋼鉄製の爪が伸び攻撃するが、スライスは辛うじてよける

「おしい!!」

思わず声を上げた芦戸に、常闇が暗闇の中から姿をあらわす鋼鉄製の爪は八百万が創造した武器だ

「芦戸、あとは任せろ。ここは俺の世界だ」

ダークシャドウをまとい身構える常闇を見たスライスの顔にサディスティックな愉悦が浮かぶ

「……こしゃくね」

そう舌なめずりするスライスの毛先の刃が好戦的に逆立った