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6-3 ページ22

「まるで白魚のような指、食べちゃいたい♡ あーん…」

『何やってんの、おじさん』

「ハハハハ…」










千賀鈴さんの手を口の中に入れる真似をしたおじさんを見て呆れていると新一も苦笑いで眺めていた
おじさんは、親指の付け根に貼ってある絆創膏に気づいた










「あれ?怪我しちゃったのかな?」

「へぇ、ちょっと…」

「小五郎ちゃんが治してあげるよん」

「いい加減にしなさい!!!」

「こりねーオヤジ…」

『ハハハハ…』












堪忍袋の緒が切れた蘭に怒鳴られたおじさんを見て、私と新一は苦笑いを浮かべていると「おい、あれ見てみ」と服部が言うので外を見ると、河原に見覚えのある男がいた












「綾小路警部」

「なにしてんねんや、あんなとこで」

『さぁ?』










私たちに見られているのに気づいたのか、そのまま踵を返して去っていってしまった








「キミら、下のベランダ行って夜桜見物してきたらええ。今晩はじきに雲も晴れてええ月が出るそうや」

「行こうか」

「うん、いいね!」

「ボクはここにいるよ」

「オレもや」

『私も』

「なんで?あの舞妓さんが気になんの?」

「アホ!しょーもないこと言うな」

「姫乃はどうして?」

『おじさんの監視』

「あはは…」













蘭たちが下のベランダに向かうと、おじさんたちはお座敷遊びを始めた
千賀鈴さんとおじさんが膳を挟んで向かい合い、禅の上に置かれたひとつのおちょこを手に交互に乗せていく









「金毘羅ふねふね、追手に帆かけて、シュラシュシュシュ〜」

「ほいっ、あよいしょ!それっ、ほっ!あひ〜っ!しまったァ!!」

「エンジン全開やな、あのおっちゃん」

「いつも開きっぱなしさ」

『ハハハハ』










襖近くに座って飲み物を飲んでいると「あ、月出てきた」と佐々木先輩が言う
つられて私も後ろの窓を見ると、空にかかっていた細い雲が流れて丸い月が見えていた









『…月、か』

「ん?なんや?」

『あ、いや…前に新一と一緒に蘭と待ち合わせしてた時のこと思い出して…約束を思い出した時には、もう2時間も遅刻してたんだ』

「そら、きついな」

『私も新一もまさかもう待ってないだろうと思ったけど、一応待ち合わせの場所に行ってみたら…』














ー3年前ー







『マジで最悪!!』

「んなこと言われたって」













蘭と美術館に行く約束をすっかり忘れてしまって、気づいた時には約束の時間を2時間も過ぎていた

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月9日 15時

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