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5話 初恋 ページ16

蹴上インクラインにやって来たが、どこにも絵に関係がありそうなものは見当たらず、私たちは肩を落とした








「ここもハズレみたいやな。昼飯にしよか」

「あぁ…」










琵琶湖から京都へ引かれた水路間の落差をつないで、船をトロッコに乗せて運ぶための鉄道として作られた蹴上インクラインは、今では線路だけが残り、その長さ582メートルの線路沿いに植えられた約90本の桜は満開を迎えていた





そんな桜並木を下っている中、桜と言われて少しだけ佐々木先輩を思い出す









(ってなんで佐々木先輩を思い出すんだ!?)










1人で百面相をしていると「桜か…」と桜を見上げてつぶやいた服部に「ん?」と新一が顔を上げた









「いや…桜見るといっつも思い出すんや。8年前のことを…
オレは京都の寺を探検してて、寺の格子窓に飛びついたときや。格子がポキッと折れてな、床にしこたま頭打って気絶してしもたんや。どんくらい眠ってたんかわからへんけど、ふと目ぇ覚ました時…」










その時、本堂の外から手毬唄が聞こえて来て格子窓に飛びつくと着物姿の女の子が桜の木の下で鞠をついていたらしい



強い風が吹いて一瞬目を閉じたら、女の子は消えていたらしい







そして、彼女がいなくなった場所に落ちていた水晶玉を手にして服部は「夢みたいやけど、ホンマの話なんや」と話を続けた










「いつかまた、巡り会えるんちゃうかと思て…」

「(ププッ」

『…………』









湯豆腐を前にしんみりと思い出に浸っている服部を見て、新一が笑いを堪えきれずに吹き出していた








「おい、何笑うてんねん」

「あ、わりぃわりぃ。続けて」

「京都に来る時は、いっつも持ってくるんや」

「……水晶玉か。どっかで見たような形だな」

『ん、ホントだ』









湯豆腐を食べながら私も言うと「ホンマか!? 誰かおんなじの持ってるんか?」と期待した目で見てくる服部に「いや」と新一が答えた










「そんで?彼女はこのこと知ってんのかよ?」

「彼女って…ああ、和葉かいな。詳しいことはなんも話してへんけど、知ってるみたいや。そもそも、あいつがこのことを知ったんは…」















佐々木side




「雑誌のインタビュー記事?」

「そう、関西でメッチャ人気のある情報誌でなぁ。この本で平次、初恋について聞かれてて」

「だから、巻き込むなって…」

「んん…」

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月9日 15時

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