芸人さんいろいろ短編集 (ページ15)

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曲×川西さん【Non Stop Rabbit/犬のおまわりさん】ページ15

大雨の中、私は迷子になっていた。

彼氏と喧嘩してそのまま飛びだして走って走りまくって、いつの間にか、

「どこやねん、ここ…」

知らないところへ。見たことのない景色、大雨で寒くて暗くて…

私は偶然近くにあった公園に入りブランコに座って揺れた。

雨なのか涙なのかわからなくなるくらい頬が濡れて誰かに助けを求めるように泣いた。

あれ、なんでここにいるんやろ…私はだれ…？

涙を流すたびに記憶はだんだん薄れていった。

川西「どうされたんですか？」

警官姿のあなたが私に話しかけてきた。

私はあなたを待っていたの。

誰かわからないけど、あなたを…。

私に傘をさしてくれて暖かい交番の中へ…私は捨てられた猫みたいやな…。
そしてあなたは犬のおまわりさん。

私はおまわりさんがいれてくれたココアを飲みながらそんなことを考える。

やっとあなたに辿り着いたんだ…迷子になって…あなたに拾われて。

川西「あなた、2回目ですね。あそこの公園で泣いていたの」

ごめんなさい…なにも記憶にないから…。
覚えてないです。私は正直に答える。

川西「そうですか…僕のことも忘れちゃいましたか…。僕はあのときあなたとあのまま別れたのを後悔してるんです。えと…川西です…」

名前を聞いて蘇る。あの時の記憶。

「私はあなたを待っていました…抱きしめてください…！安心したい…」

ふわりと甘い匂いにつつまれて私は口にした。

「私は今日もあなたが＿＿＿＿＿＿」