26.世界の理 ページ26
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｢大丈夫やった？！｣
｢……見ていたんでしょう｣
トントンさんが部屋を出た後、入れ違いで鬱さんが入ってきた
心配を装って茶菓子をもてなすさまは、生粋の詐欺師といったところか
｢…はは、まあな。正直喰われたかと思ったわ｣
相変わらずの笑顔で薄い言葉を吐き捨てる彼は、私の生死などまるでどうでも良いといった表情で隣を陣取る
｢あいつの手口やねん。優しいフリして漬け込んで、頃合いを見て殺して喰う。Aちゃんみたいに純粋で綺麗な子ほど、あの罠は効果的で…残酷なんよ｣
一瞬表情が曇った鬱さん
聞けば、過去に想いを寄せていた人間をトントンさんに食べられてしまったとか
そんな彼は、この屋敷の使用人的な立場らしい
｢…彼に、復讐する気は無いんですか｣
｢えっ？！……ふは、やっぱAちゃん可愛すぎるわ｣
震え声で小さく溢すと、馬鹿にするように鼻で笑った鬱さん
なぜ、自分の想い人を殺されているのに…
｢Aちゃん、この世界では俺みたいな下級の魔物は真っ先に餌になる。いくら逃げても隠れても、安全は保証されないからな。やけん、強い者に置いてもらえるのはこの上ない幸せなんよ。昔の女に執着してる暇なんて無いねん。結局、一番大事なのは自分自身やからな｣
空いた口が塞がらない
正真正銘の屑じゃないか
…いや、倫理観を除けば言っていることは正しい
しかし、現世の人間が同じことを言えばただでは済まないだろう
邪魔な観念なんて今のうちに捨て去っとき、なんて自嘲気味に笑う鬱さんを見て、目眩がした
｢ほんまに可哀想、Aさんは何も悪く無いのに｣
突然、真上から声がする
何事かと思えば、天井板の隙間から黒猫が降ってきた
厳密に言えば普通の猫とは少し違い、尾が根本から二つに分かれている
｢ニンゲンのことを何も知らんヤツらに今まで散々振り回されて、辛かったでしょう？｣
｢…え？｣
気怠げな声は、確かに黒猫から発せられているものだった
続く (更新停止中)
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へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます！不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします！！ (2022年7月27日 20時) (
レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！！ (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです（？） 更新頑張ってください！！！ めっちゃ応援してます！！！！ (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます！ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：へる | 作成日時：2022年6月24日 0時
