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25.本性 ページ25

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「この世界について、知りたいことはあるか?」


居間に案内され、いきなりこんなことを聞かれた


なんでも答えてやる、と真剣な様子のトントンさん



「…狭間の森を知っていますか?」


試しに一つ、ゾムさんたちには絶対に言えない質問をしてみた


彼はそれに対し、躊躇いもせずに答える


「あそこな、しょっちゅう通るで」

「……本当ですか?」


今まで散々隠されていた存在を簡単に肯定されてしまい、一瞬頭が真っ白になる


「嘘はついてない。あそこを通ればニンゲン界に行けるんや、まあ帰りは別やけどな」


…驚いた、ここまで協力的な魔物は初めてだ



食いつくように体を前進させ、次の疑問を問いかける


「それはどこに在るんです…」





「待て待て待て、まずは俺が渡した分の見返りをくれや」


急に真顔になったトントンさんは、私の唇を人差し指で抑える


見返り、とは何のことだろうか


「まじで限界なんやわ。両手…いや、四肢は全部欲しいなぁ」

「え…」


淡々と品定めをする彼を見て、放心する


襲わないと約束したのに…話が違うではないか


「なに不思議そうな顔してんねん、うまい話は普通疑うもんやで。貰った分だけお礼をする、ニンゲンの礼儀ちゃうんか?」



まんまと嵌められた


逃げたい、逃げないと殺されてしまう


「…ゃ」

「今更怖気付いたか?…やっぱりお前もただのニンゲンと変わらんやんけ」


いくら脳が命令しても、体は全く役に立たなかった





「とりあえず邪魔な足はいただくな」


だめだ、終わる


死を覚悟したその瞬間、目の前で大きな火花が散った


「いっダァ??!」

「!?」


突然起こった出来事に、両者が混乱する



「…っ」


不意に手の甲が熱くなった


目線を落とすと、緑色の不思議な模様が薄らと浮き出てくる


「ゾムの加護か…いつの間に…」


ゾムさんが…?


しかし、そんな隙は無かったと唸るトントンさん


かくいう私も今まで気づかなかったのだが、ひとつだけ心当たりがある


この屋敷行きが決定する前、ゾムさんはなかなか私の手を離さなかった


おそらく、あの時からもう既に守られていたのだろう



何はともあれ、この身が無事で本当によかった



__


「…一旦諦める」


しばらく沈黙が続いた後、トントンさんはそう言い残してよろよろとどこかへ行ってしまった


空腹なのは本当らしいので、これから別の食糧でも探しに行くのだろう



大きな安堵と共に、どっと疲れが押し寄せた

26.世界の理→←24.無情の遠出



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へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます!不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします!! (2022年7月27日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます!応援とても励みになります!! (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです(?) 更新頑張ってください!!! めっちゃ応援してます!!!! (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます!ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:へる | 作成日時:2022年6月24日 0時

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