24.無情の遠出 ページ24
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｢このニンゲンを一日借してくれたら俺は満足や。もし断るんやったら…｣
"こいつを現世に送り返す"
予想外の言葉に耳を疑う
明らかに動揺するゾムさんを見るに、彼の言っていることは実現可能なのだと悟った
｢どうしましたゾムさん、答えは決まってますよね？｣
｢っ…｣
一瞬で場の空気を支配したトントンさんは、余裕そうに嘲笑う
数分後、ゾムさんは静かに私の手を離した
__
｢もう着くで｣
｢……｣
夕方、ようやく整備された道が見えてきた
この先がトントンさんの屋敷…まだ心の準備ができていない
豚の魔物だと思っていた彼の正体は、なんと狼だった
それも、人間を襲って食べるタイプの危ない人狼
彼にこれを告白された時から、まるで生きた心地がしない
俯きながら絶望している私を余所に、トントンさんは目の前を指した
｢あれが俺の…｣
しかし、彼の言葉は途中で途切れる
不思議に思い顔を上げると、門の近くに可愛らしい兎が屯していた
｢…おい、鬱！こいつらどうにかせぇ｣
トントンさんがドスの効いた低い声で誰かを呼んだ
大きな舌打ちが聞こえ、背筋が凍る
兎たちもその声に驚いたのか、四方八方に散っていった
｢なんや、せっかく待ち合わせとったのに…｣
少しして、屋敷から覇気を感じない声が聞こえてきた
…彼が鬱さんだろうか
｢お前さぁ…邪魔やからここに集めるなって何回同じこと言わせんねん｣
｢それはごめん……！？｣
横にいる私に気づいた鬱さん？は、目を丸くしてお手本のように驚いた
｢ぇ、雌…じゃなくて、ニンゲン？！｣
｢失礼すぎるやろ｣
興味津々でこちらに近づいてくるたらしのような男
彼は私の前で立ち止まると、少し屈んで目線を合わせてきた
｢…Aちゃん？｣
｢！なんで…｣
じっと見つめられ、突然名前を言い当てられる
疑問に思えば、誰かから聞いたと他人事のように話す彼
｢初めまして、僕です。Aちゃんのことは風の噂で聞いとったけど、実物は想像以上やな｣
｢…うちで雇っとる鬱先生や。屑やからあんま関わらん方がええよ｣
鬱さんはへらへらと笑いながら挨拶をした
しかし、笑っているはずの彼からは感情が読み取れない
トントンさんは普通に流しているが、彼には本心を隠されているような違和感を覚えた
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へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます！不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします！！ (2022年7月27日 20時) (
レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！！ (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです（？） 更新頑張ってください！！！ めっちゃ応援してます！！！！ (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます！ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：へる | 作成日時：2022年6月24日 0時
