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2.目覚め ページ2

.


「…?」


ここはどこだ?


周りがよく見えない…音も聞こえない


頭がクラクラする……体の感覚も無い



「…ぅ゙、けはッごほっ」


苦しい……息が…


誰…か……





"口開けて"





「ッは、んぐ…」


突然透き通った声が聞こえ、咄嗟に口を開く


それとほぼ同時に、何かが口の中に入ってきた



……爽やかな甘い香り



数秒後、桃の味がする飴玉だと気づいた


それを機に、失っていた五感も少しずつ覚醒していく


なんとも不思議な感覚だ



ぼんやりと何かの模様が見えてきた


「すまん、苦しかったよな…もう大丈夫か?」


目の前にいたのは、"天"と書かれた面布で顔を隠した子供


どうやらこの子が私を助けてくれたらしい


布団から体を起こし、目線がほぼ同じになる



「…今、絶対俺のこと小さい思ったやろ。一応言っとくけど、俺はあんさんよりも遥かに長生きしてるんやで」


どき、と心臓が大きく跳ねる


声のトーンが低くなり、なんとなく怒っているのが伝わった


長生き、という言葉の割には若すぎる気がする


まさか、普通の人間ではないのか?


「初めまして、俺はロボロ。人狼や」



じんろう……人狼?


人狼といえば、人喰い狼のことだろうか


私の村にも、数ヶ月前から人狼の被害に遭った村人が度々逃げ込んできていた


もしかして…



まだ少し痺れている手足を動かし、一定の距離を取る


「…俺は別にニンゲン襲わんから安心しぃ」


少し不満そうに口を開いた人狼



正直今すぐ走って逃げ出したいが、何故か体が鉛のように重い


例えるならば、高熱を出した時のような怠さ



「後遺症的なのが続くから、しばらくは動かん方がええよ」


優しい声色…心配してくれているのだろうか


顔が見えないので感情の起伏が読み取りづらい



「さっきの症状、誰かがリツに呪いをかけたみたいやな。幸い何かを口にすれば一時的に解除されるみたいやし、今は俺が面倒見たるよ」


そう言いながらゆっくり距離を縮めてくる人狼



"近づくな(・・・・)"


叫ぼうとしたが、呂律が回らない



抵抗も虚しく、私はまた布団の上に座らされてしまった

3.出遭い→←1.はじまり



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へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます!不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします!! (2022年7月27日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます!応援とても励みになります!! (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです(?) 更新頑張ってください!!! めっちゃ応援してます!!!! (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます!ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:へる | 作成日時:2022年6月24日 0時

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