アメリカンブルー (ページ38)

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その後の話5 ページ38

Aside

『…りょうくん。』

一目で分かる。
りょうくんは怒ってる。

『ご、ごめんね。私ぼーっとしててあの。』

必死にりょうくんの機嫌を直そうと言葉を絞り出そうとしていたら、りょうくんが私に目線を合わせて頭を撫でてくれる。

り「分かってるよ。こっちにおいで。」

そう言って自分の背中に私を隠してりょうくんはまた話し始める。
…大きな背中。安心する。

り「もう一回聞くね？俺の彼女に何してるの？」

モブ「何もしてねーよ。」

モブ2「！！この人、東海オンエアのりょうじゃね？」

り「！！！！！A、逃げるよ。」

ナンパ男が大きな声で“東海オンエアのりょう”と言ってくれたおかげで、私たちはその場を離れなくてはならない。

りょうくんに手を引かれながら、出口を目指す。

りょうくんの車まで逃げ切り、2人で呼吸を整えた。

り「…久しぶりのデートなのに、ごめんね。」

『全然…大丈…。私の方こそあんなやつに絡まれたせいでごめん。』

りょうくんと私の言葉で車内は一気に重い空気に。
と、思ったのも束の間。りょうくんが口を開く。

り「ここから近くに海があるんだけどさ、夕陽を一緒に見たいと思ってたんだ！行かない？」

『行く！！』

海に向かう車の中で、さっき見た魚のことやナンパされた経緯のことを話した。

もう日暮れも良い時間。
車の中から、海沿いを走ると徐々に太陽が沈んでいくのがわかる。

り「この辺に止めて夕陽見よっか。」

車を止めて堤防まで行き、2人並んで夕陽の正面に座る。
すると、ぽつりぽつりとりょうくんが話し始める。

り「俺、さっき怖かったよね？」

『ナンパの人たち追い払った時？珍しいなと思ったけど、頼もしかったよ。』

り「俺、1ヶ月もAのこと放置しちゃうし、久々のデートは行きたいところ途中で走らせちゃうし、ダメダメじゃん？」

り「…こんな俺でAは良いのかなって。少し思ってたんだよね。」

『…！そんなこと！！！！』

りょうくんがこちらを見てにこりと笑うから、あまりのかっこよさに言葉が出なくなる。
そして、また真っ直ぐに海を見る。

り「でもさ、ナンパ野郎がAの手を掴んでるのを見たら、誰にも渡したくないって思ったんだ。」

り「そう思ったんだよ。」

そう言って私に微笑んだ後、キスをした。

『2回目の告白？』

そう尋ねると、ニヤリと笑って

り「これは誓いのキス。」

私の顔が赤くなったのを確認したりょうくんは、もう一度キスをした。

end