その後の話 ページ34
Aside
りょうくんと付き合い始めてかれこれ一年が経過した。
りょうくんは自身のカフェをオープンし、今まで以上に多忙な毎日を送っているようだった。
『今日も返事なしかあ…』
自室で呟いた一言は1人では持て余すほど広い部屋に消えていく。
…さみしい。
オープンして落ち着く時間もなくずっと忙しそうにしている彼。
邪魔はしたくないと1日一度、連絡を送ってひたすら待っている。
ここ3日返信がこない。
なんなら1ヶ月は会っていない。
もーーーー。何をやっているんだ。りょうくんは。
こんなほったらかしにしちゃうとSNSやっちゃうぞ〜。
1人心の中で言い訳をするがその実は彼の更新をチェックする。
あ、さっき更新したのにわたしには返信しないんだ。
この女の子にリプ返するのに私には返信しないんだ。
自分の中にドス黒い、いやーーーな感情が溜まっていくのが分かった。
なんで返信してくれないの。
なんで他の女の子にはするの。
なんでなんでなんで…
そんな事をぐるぐる考えていれば、ドス黒い感情が湧き出たように目からは涙が溢れ出す。
誰もいない部屋で声を殺して泣いていると、スマホが鳴った。
りょうくんからだ。
『…ッもしもし…グス…』
り「もしもし?」
『…』
り「聞こえてる?てか泣いてる?」
『…泣いてないよ…グス…どうしたの?』
り「やっぱ泣いてるでしょ?今家?行くね。」
『家…』
「すぐいく!」と言って電話を切った3秒後。
ピンポーン
家のインターホンがなり驚いてモニターをみる。
りょうくんだ。
オートロックを開けて、もう一度なったチャイムと共に勢いよく玄関を開けてりょうくんに飛びつく。
り「わあ!ふふ。どうしたの?…寂しかった?」
いつものようにニコニコのりょうくんがわたしを抱き止めて玄関に連れて入る。
久しぶりのりょうくんの匂い。りょうくんの体温。りょうくんの声。
堪らなくなった私はそのまま喋り始める。
『寂しかったよ…。返信もしてくれないし、電話もないし、会えないし…。でも忙しいのはいいことって思ってたけど、私にはしない返信、女の子にはするし…。不安だった。』
りょうくんは優しく抱きしめ返して頭を撫でてくれる。
ふと、あ、この頭を撫でる大きな手に惚れたんだっけ。なんて思い出す。
り「ごめんね。寂しい思いさせて。でも、甘えん坊なA…めっちゃかわいいんだけど。」
そう言った後嬉しそうな「ふふ。」という笑い声が聞こえた。
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作者名:おかゆ | 作成日時:2020年10月25日 21時