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Aside
うつらうつらと目を覚まして、寝ぼけた頭でここはどこだ?なんて考える。
ああ…昨日引越したんだった…
りょうくんに手伝ってもらって、2人でお酒を飲んだ…
途中からの記憶がないぞ?
少し焦って重たい体を持ち上げれば、手をついたのは人の足。
びっくりして飛び起きれば、ソファに座ったまま腕を組んで眠るりょうくん。
私がきっと先に膝に寝てしまって帰れなかったんだろう…
そう想像して心底申し訳なくなる。
ジーーっとりょうくんの顔を見つめれば見つめるほどよく分かる整った顔。
程よく焼けた肌に、キリッとした眉毛。薄くて小さな唇。
頭身に合わないくらいの小さな顔を撫でて見れば愛しさが限界突破。
何を思ったのか、りょうくんに顔を近づけていった。
あと、もう少しで唇が重なってしまう。
り「何してんの?」
目を覚ましたりょうくんがこちらをみて、目を細めている。
意地悪な時の笑い方だった。
『ごめん!本当…忘れて欲しい!』
私が勢いよくその場を離れようとすれば、手首を掴まれ動きを止められてしまう。
り「俺はいいよ?ほら。」
そう言いながら、目を閉じる。
私は恥ずかしさと罪悪感から、顔を真っ赤にして目に涙を溜める。
『本当に…ごめんなさい…恋人同士でもないのに…』
自分の口に手を当てて、りょうくんに勘弁してくださいという気持ちを込めて言えば、りょうくんの目は開きまた、ニコニコとしている。
り「ごめんごめん。からかいすぎた!(笑)」
そう言っていつものように表情ひとつ変えず、私の頭をぽんぽんと撫でたかと思うと、「今日撮影だからもう行くね。」と言って帰り支度を始める。
なんか私ってりょうくんに遊ばれてるのかしら?
両親に会いにいった時、元彼から助けてもらった時、そんな事は感じなかったけれど、今日みたいにいつだって冷静で私をからかう余裕のあるりょうくんにそんな不安が過ぎる。
玄関まで送りに行き、りょうくんの「家も近くなったしこれからはもっと遊ぼうね。」なんて言って別れた。
玄関のドアが閉まった後、「ばか可愛い。やばい。どんどん好きになってく。」なんて呟いてた事を私は知らない。
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作者名:おかゆ | 作成日時:2020年10月25日 21時