家 庭 科 室 の 、 - 2 - 【地縛少年花子くん】

置置置置 ページ5

「ん！美味しい！」









　
つかさくんは幸せそうに頬を膨らませた。子供っぽくて可愛らしい。そういう面をもっと出せばいいのになと思ってしまった。









　
「あ、ほら。Aここに座って？」


「う、うん。」









　
私はさっきまで座っていた椅子に再び座る。隣には彼。とても近い。頬が触るぐらい。









　
「そんなに固まっちゃってどうしたの？」


「…。」









　
たとえ口の中に入れているとしても、食べ物がすぐ近くにあるので怖い。









　
「じゃあ俺がイイコトしてあげる。」


「！や、やめて。」









　
すると彼は、私の顔をグイッと自分の方へ無理矢理向けさせる。









　
「どうして？」


「だ、駄目…。」









　
目をそらす。









　
「俺は、Aのことならなーんでも知ってるよ？だから食べ物を口にして昔のことを思い出すのも知ってる。」


「！？」









　
なぜつかさくんがそのことを…。









　
「だって、“あの時”の食べ物。俺が置いたから！」


「！」









　
…あの時。それはルールも知らずに、初めて口にした日。









　
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家庭科室。









　
「クッキーだ！美味しそう！」









　
1枚のお皿の上にクッキーがあった。花子くんは手にする。









　
「え、食べちゃうの？」


「多分、調理実習とかで作ったんだと思うけど…。大丈夫だよ！」









　
安心とは言えないそのクッキーを、









　
「！あっ…。」


「ん。美味しい！」









　
パクッと花子くんは食べてしまった。当時、花子くんは幸せそうに食べていたっけ。









　
「…。」









　
彼の様子を見て私も口にしてしまった。美味しい。しかし、その時私の意識は途切れた。






その瞬間ぐるぐると、ぐるぐると過去がリピートされていった。

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