家 庭 科 室 の 、 - 2 - 【地縛少年花子くん】

赤赤赤赤 ページ22

今日は最高で幸せな1日だった、なんてそんな平気なこと言ってられない。


まだ1日は終わっていないのに。残り数時間で日付は変わるけど、まだ“今日は終わっていない”。









　
「おかあ、さん？」


「…。」









　
家のドアは開いていた。鍵は玄関に落ちている。靴を脱ぎ、静かな家の中を歩く。

台所には、なんと、









　
「お母さん！お母さん！」


「…A、？」









　
赤い液体がいっぱい溢れて倒れている母の姿があった。

その姿に絶句し、鞄は手から落ちて慌てて駆け寄る。









　
「ど、どうしたの！？ち、血が…。は、早く止めないと…。」


「…ごめん、ね。」









　
お腹からだった。手を添えると、一瞬で赤。赤。赤。赤に染まる。






近くにはタオルはなく、どうしようかと焦るばかり。そして現実を受け止められない自分がいた。


だってそうだろう。いきなり大事な、大好きな家族が血塗れで倒れているんだ。





すぐ受け入れる人はいないだろう。









　
「あはは…なんで謝るの。誰かが家に来た？教えてよ…。」


「…伊月、ちゃ、…。」


「…え、？」









　
_________母は息を引き取る前に、“伊月”と言った。


それが最後の言葉だった。









　
＊









　
次の日。





「お父さん。帰ってこないなぁ…。」









　
次の日も。




「…どうしたんだろう。」









　
そのまた次の日も。





「仕事で忙しいのかな。」









父が帰ってくることはなかった。仕事が忙しくて数日帰らない時は昔あったが、その時はちゃんと連絡が入った。









　
「探さないと…。」









　
私は外に出て、探すことを決意した。









　
＊









　
「……え。」









　
人々は賑やかな表の道を歩いていた。そして、なぜか今日は人が多かった。

人が多かったのは、電気屋のテレビがあるところの前。






実は、ニュースでこう伝えられていたのだ。









　
_________柚月……さん、_____歳。遺体で発見されました。

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