Only Love

＊ ページ12

しばらくすると、マネージャーさんが控室にきて

マネ「紫耀、許可でたからスタジオ戻って。10分で再開するぞ」



それだけを言い残して、出て行った





「紫耀…頑張れるよね？やめたりしないよね？」

紫「…」

「気持ちはほんとに、よくわかるよ。初めてが仕事でなんて、悲しいよね。だけどここで撮影に穴あけるわけにはいかないでしょ？ほら、リップ塗り直して頑張ろうよ！キスなんて思わずにさ、ちょっと唇が触れるだけだよ！ね？！」




なんて、無理やり元気よく言ってみるけど
やっぱり、かなり辛そう。

だけど、早くスタジオに連れていかなきゃ…




「紫耀…？」

紫「…じゃあ」

「ん？」

紫「じゃあ、さ…」

「…うん。何でも言ってごらん？笑」

紫「今ここで…Aにキスしていい？」

「…え？」





何言ってんの、紫耀…





紫「ちょっと唇が触れるだけなんだろ？なら、いいじゃん」

「それは、そういう意味じゃ…」

紫「…じゃあ、どういう意味？」

「…仕事のなんて、そんな軽いもんだし、ファーストキスにはカウントされないよってこと！私としたら、それは仕事じゃないじゃん。ファーストキスの相手、私になっちゃうよ？笑」

紫「うん」

「いや、うんって…」

紫「…ダメ？」

「いや、ダメでしょ？普通、ダメだよ？」




マネ『紫耀！早くしろよー！ 』



外で、マネージャーさんの声がする




紫「はい！すぐ行きます！」




って、大きな声で返事はしたものの
動く気配はない





紫「なぁ、ダメ？」

「ダメに決まってるでしょ？」

紫「じゃあ、聞き方変える」

「…」

紫「俺が今キスしたら…いや？」

「…その聞き方は、ズルいよね」

紫「なぁ、頼むよマジで…もう、時間ない…」






マネ『 おい紫耀！もう始まるぞ！！』

紫「はーい！！」




外へ向かって返事をし
また、こっちを見てくる




紫「10秒後にするから、嫌なら逃げて。10…9…8…」



勝手に、カウントダウンが始まった





…私と今キスして
それで紫耀は救われるの？


初がビジネスなんていやって気持ちはわかる。
でもだからって私でいいってことにはならない


紫「7…6…5…」





だけど、紫耀はその方がマシなんだよね？
それで、救われるんだよね？




紫「4…3…」





そしてあと2秒を残して
私から紫耀に、キスをした…



ただ唇が触れるだけ

確かにそうかもしれない




だけど、紫耀の初めてが嫌な思い出にならないよう
できる限りの気持ちを込めて…

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す