【ブルーロック】凪くんはハニートラップがおじょうず。【凪誠士郎】

彼の中に眠る熱。 ページ35

チームVは今まで、他のチームに負けたことはない。
このチームには凪くん、御影くん、斬鉄くんがいるから、彼らがこのチームにとって強力な武器。

だから、チームZの試合でも、私は勝てるって信じてた。

***
試合が始まって、チームZの選手の皆は、チームVの強さに心が折れかけていたように見えた。

けどそれは違った。皆じゃなかった。

こんな状況下におかれても、笑っている子がいた。
黄色い髪が特徴的で、ドリブルが得意な男の子。

蜂楽廻くん……

彼が点を決めてから、流れは少しずつ変わり始めた。
徐々にチームVが優勢だった状況が、狂い始める。

けど、その時の私は、ハラハラするとか、チームVが負けるとか、そんなことは頭になかった。

それどころか、どうでも良かったんだと思う。

凪くんがいつも以上に集中している。

楽しそうにやっている。

彼があんなに楽しそうにサッカーをする瞬間なんて、今まであった……?

あの面倒くさがりで、本気を出さない彼が、本気になるなんて……

今この瞬間に本気を出して、全力でサッカーをする彼が私はすごくすごくいいと思ったの。

それを私は本気で素敵だと思う。

試合中、チームZを裏切ったという久遠君が、凪くんに飛びついた。

「!凪くん……!!」

彼は悪質な行為としてレッドカードで、退場になった。

Aは周りの騒ぐ声を一切無視して凪に声をかけた。
有事の際にすぐ対応するために支給された救急セットも持っている。

「凪くん、大丈夫……!?怪我、してない?目とか、大丈夫……!?」

「うん。大丈夫。……センパイ、そんな顔しないで。可愛い顔が台無しだから。」

「凪くん……」

凪はAが彼の頬を撫でていた手をそっと取って、安心させるように、優しく握った。

やっぱり、私は何も間違ってなかった。
彼は本当に本気でやっていたんだ。そしてあの集中を、熱をまた取り戻すために早くやりたいんだ。

結果として、チームVはチームZに負けた。

「ねぇレオ、センパイ……」

「!」

「なに?」

「本気で戦って負けるって……こんな気持ちなんだね。悔しいや……。」


今まで負け無しだったチームVが負けた瞬間。
同じサッカー部の選手とマネージャーとしてここへやってきて凪くんと御影くんと同じチームになって、選手達を一生懸命サポートしてきたつもりだった。

負けて悔しいよ、私も。
この悔しさは、私が怪我でサッカーを辞めることになった、あの負けた試合を思い出させた。

終わり ログインすれば
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←凪くんは相変わらず甘えん坊さん。

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