センパイのばか。 ページ21
「……!」
Aの意識はハッキリと覚醒した。
ここどこ?病院……?
ゆっくりと体を起こすと……
「痛っ……!」
ズキンと身体と頭が痛みだす。頭を抑えると、どうやら包帯を巻かれているみたいだった。
幸い、骨は折れていないみたい。
そうだ、私あの時突き落とされて……
「ん……」
「?」
あ、凪くん……
凪はベッドで眠るAの付き添いで病院に来ていた。
パイプ椅子に腰掛け、ベッドに手を置いて寝ていたみたい。
パイプ椅子なんてずっと座っておくのしんどいのに……。
こんな最悪な寝方して、絶対疲れたよね。
でも寝顔は気持ちよさそうだから、やっぱり起こせないや。
そう思うと、凪くんに何だか触れたくなった。
よしよし。隣にいてくれて、ありがとね、凪くん。
Aは優しく凪の頭を撫でた。
「……目ぇ覚ましたの、センパイ。」
「凪くん…?」
そう言うと、少し寝癖のついた彼が顔を上げた。
「今はどこも痛くないの、血は出てないの、センパイ、大丈夫なの。」
ズイッと顔を近づけて、間髪入れずに聞いてくる。
「うん!大丈夫、私頑丈だもん」
そうやってにこっと笑ってみる。だけどやっぱり痛くて。
「センパイの嘘つき。痛いのに強がんないで。何で急に踏み外したりしたの。センパイ、そんなドジじゃないのに。」
そう聞かれると、踏み外したあの時の事を思い出して、ガクガクと身体が震えだす。泣きたくないのに涙が溢れて仕方がない。
「……やっぱ何か隠してた。絶対なんかあるんでしょ。」
「ごめん…何だかね、最近物を隠されたり、壊されたり…靴の中に画鋲入れられたりしてた。今日も見掛けたことのある2年生の女の子たちに、階段から突き落とされたわ。」
「……」
凪はAが誰かに泣き顔を見られぬよう、借りていた膝掛けをAの頭にかけた。
「何で男を…俺を頼んないの。センパイのことだから、心配かけたくないとか迷惑かけたくないとか思ったんでしょ。」
頬をぶにっ、と横に伸ばす。
「だって凪くん面倒くさがりだもん。」
「センパイのばか。センパイのコトは面倒くさくないからいいの。」
「もう、何それ。」
センパイは少しだけ笑ったけど、またポロポロと涙を流しだす。
「ごめん、ちょっと…」
「いいの、怖かったんなら泣いて。」
「うん。」
あーあ、センパイの可愛い顔が泣き顔にされちゃって。
甘えるセンパイも、偶にはいいけど。
突き落とした奴等、俺は絶対許したくない。
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桜花(プロフ) - 使い古した絡繰り人形さん» コメントありがとうございます!!黒名くんと凪くん両方の作品読んでくださりありがとうございます!!こっちの作品はちょっと更新遅れてるのでなるだけ早く更新できるよう頑張ります!!応援本当にありがとうございます! (8月14日 12時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - コメント失礼します。「黒名くんにきゅんな毎日。」から来ました!面白すぎてつい一気読みしてしまいました。神ですか?いや、神ですね!?更新待ってます! (8月14日 10時) (レス) id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - ねう。さん» コメントありがとうございます!これからもハイクオリティ目指して頑張ります♡ (2023年1月14日 12時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 最推し…良い。。もう涙が止まらなかった。。かっこよすぎます好きですこの作品素敵すぎます(泣) 更新楽しみにしてます! (2023年1月13日 20時) (レス) @page23 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - Z𝐙zさん» コメントありがとうございます!!タイトルはめちゃくちゃ気合い入れて考えたので嬉しいです!!これからも頑張ります! (2023年1月1日 23時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年12月4日 10時