白い服をまとった女性は。 ページ9
私が此処に来てから、日付が変わった。
私は一人で過ごしていた。特にすることも何もない。此処では杏奈様の本丸に連絡は取れそうにない。どうすれば…
私は１人海が見える窓の前の白い椅子に座り海を眺めていた。
昨日までは無かった沢山の贈り物。
楓さんは寝台の周りの薔薇を取り替えていた。
「九鬼さん、御風呂に入ってきてください。場所はあちらです。服はこれを。洗濯はなるべく早くしますので乾いたら御持ちしますね。｣
「…何故、この白い服にこだわるのですか。｣
楓さんは私の両手を取って、悲しそうな顔で、震えた声で。
「…貴女にしか…出来ないことだからです。｣
そう言った。
お風呂に入り、また白い服を着た。
そしたらいつの間にか夜になってた。
私は海を見ながら潮風に吹かれながら。
日向、私どうしたら良いの？君はきっと私を心配してる。
私も君に会いたいよ。だって此処は、あの時の、真っ暗闇の中１人居たときを思い出してしまうんだもの。
「やあ、九鬼正宗。｣
「夜月さん。早く私を此処から出してください。家族に、日向の元に帰してください。｣
「それはできない。君は、僕の本丸には居ないんだ。君を手に入れたい。今君が着ているその服は、代々この家に伝わる婚約者である女性が着る物だ。｣
「…っ！？婚約…者…？｣
「そう。君は僕の妻になるに相応しい。また話そうか。｣
そう言って部屋を出ていった。
嫌だよ…あの人と結婚だなんて。日向…
その時。コンコンとノックをする音。
「…？どうぞ。｣
「失礼するよ。｣
「…っ！？日向！？｣
そこには日向正宗。どうして此処に…！そして傷が付いてる…
「あはは…ごめんね、僕は確かに日向正宗だけど、君の本丸の僕じゃないんだ。此処の本丸の日向正宗さ。｣
此処は確かブラック本丸よね…日向がそんな所に…
「ほんとはね、君には全刀剣男士面会禁止になっているんだ。けど、別れた”あの日"以来逢えなくて…どうしても君に一目逢いたかったんだ。｣
…どうして此処に来てしまったんだろう。彼等の運命を、誰が決めたと言うのだろう。
「君の本丸の彼等はじきに此処に来るだろう。その時にすぐに逃げるんだよ？｣
私の目からは大粒の涙が溢れた。
「日向、君も私と逃げよう！君が辛い思いをするのは嫌！｣
日向は私を優しく抱きしめた。
「此処には沢山の刀剣が居る。運命を共にすべき仲間が。彼等を置いてまで、僕はそっちに行く事は出来ない。例えどれだけ君を想っていても。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜花(プロフ) - 今まで連載を見てくださった方々、本当にありがとうございました。ここで、日向正宗と双子の物語。は完結です。本当にありがとうございました！！ (2019年10月13日 14時) (
レス) id: 8a6bd79137 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 嘘月さん» 初めていただいたリクエストを書いたのですが…どうでしょうか？可愛い路線にしたのですが…！嘘月さんのご期待に応えられるように頑張ります！ (2019年1月2日 22時) (レス) id: 8a6bd79137 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 嘘月さん» あけましておめでとうございます！そしてレスありがとうございます！お餅つきですね！頑張ります！！ (2019年1月2日 12時) (レス) id: 8a6bd79137 (このIDを非表示/違反報告)
嘘月(プロフ) - 桜花さん» あけましておめでとうございます！！ネタ、なのですが、餅つき、とかいかがでしょう？ (2019年1月2日 12時) (レス) id: 330b7fd244 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 嘘月さん！お友達申請まで…！！本当にありがとうございます！それと、もしよろしければ、ストーリーのリクエストをいただけませんか？よろしければなので、もし無くても気にしないでください！ (2018年12月28日 19時) (レス) id: 8a6bd79137 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜花 | 作成日時：2018年11月3日 20時
