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任務終わり、疲れでぼうっとしたまま新宿駅を目指して歩いていたら、駅南口にあるサザンテラス全体が、極彩色のネオンに装飾されて発光していた。目を奪われて、思わず立ち止まる。

道端でイルミネーションを背景に自撮りする女子高生ふたりが、クリスマスの話題で盛り上がっているのが聞こえてきて、もうそんな時期かと驚いた。

「ねー、クリスマスどうするの?」
「私、相方とディズニー行くんだ。ミラコスタ泊まるの」
「いいなぁ。私の彼氏、貧乏大学生だからそういうのしてくれなくてさ。やっぱ社会人は違うんだね」

恋愛に年齢差は関係ないけれど、社会人なのに女子高生に手を出す男はどうしても節度がないように思うし、大学生は本当にその気になればディズニーのチケット代くらい買えるんじゃないかな。第三者の私は、意地悪くそんなことを思っていたが、自分も高校生だったと思い出して、笑えた。心が老婆のように枯れている上に、大概(すさ)んでいる。

実際、(すさ)みたくなるほどの仕事量をこなしていた。忙しさは日毎(ひごと)に増し、学業の合間に仕事をこなしているのか、仕事の合間に学業をこなしているのか、境界線はすでに曖昧(あいまい)になっていた。

明日だって平日だが、愛媛で出張任務があるため、授業は受けられない。大体、なぜ東京校の私が高頻度で関西の任務を受けなければならないのだろう。明日、準一級相当の任務をこなせる京都校所属の術師がいないからということだったが、日程をずらして自校で引き受ければいいだけの話ではないだろうか? 学生に学業を放棄させてまで、明日やらねばならないことなのだろうか? 常に人手不足の業界だ、助け合って仕事をまわさねばならないのは理解できるし、京都校の術師の代わりに任務に派遣されるのが嫌というわけではない。ただ、上層部に良い顔をするために、東京校の学長が無理に京都校の任務を引き受けているのではないかという気がして、使い潰されているような感覚になってしまって、そのことが(むな)しいのだ。考えれば考えるほど、今までは思いつきもしなかったような愚痴があふれてきて……、あぁ、私ってば疲れてるな。きっとそうだ。今はもう、ただただ眠りたい。

やさぐれた気持ちで中央線の改札を抜けると、東京行きの快速列車を待つホームに、見覚えのある男性の姿を見つけた。

夜蛾先生だ。

咄嗟にUターンしかけたが、ふいに顔をあげた先生とサングラス越しに目が合ってしまい、逃げられなくなってしまった。

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ひよこまる(プロフ) - えりんぎのバター炒めさん» コメントありがとうございます! 二人旅のシーンは、構想段階からどこかに差し込もうと思っていた場面なので、お褒めいただきすごく嬉しいです。一番書きたいシーンまで上手く辿り着けず焦ることも多いですが、ご期待に添える作品になるよう、頑張ろうと思います(^^) (5月7日 7時) (レス) @page37 id: 8ac964ebff (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - 心を療養する夏油さんと夢ちゃんの2人旅がすごく素敵です。とても引き込まれる作品で、2人の苦しさが身に染みます……。続き楽しみにしています! (5月7日 0時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよこまる | 作成日時:2024年3月24日 21時

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