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「わかってはいたけど肩身狭いよね。」




寮は流石に分かれているけれど
食堂は女子寮に住んでいる学生と共用になっている。

周りは俺たち以外みんな女性ばかり
四人固まって食堂の一番隅で縮こまって食事をとるのが
ここでの生活のルーティンで、今はもう慣れてしまった。



「俺ら男と思われてないでしょ。」





ラウールが顔をいがませながらカレーを頬張る。

確かにそうだ、ここに来て男扱いしてもらったのは
重い荷物を持つときか雑用を頼まれるときだけだ。
全くもって意識されていないことは
俺の頭上でナプキンのキャッチボールが行われた時に察した。





「でも洗髪の時は重宝されるよね!」




「髪乾かしやすいからね。」





ラウールを励ますように
背中を数回優しく叩くと盛大な溜息が吐き出された。

すると正面に座っていた照が顔の前で握りこぶしを作り
それをラウールに差し出した。
全員の頭にハテナマークが浮かんで一瞬その場が静まると
その拳はラウールの口に優しく押し付けられた。





「幸せ逃げるぞ、
 こんなところで幸せ逃がしてると後々大変。」





その見た目からは想像しずらい可愛さに笑みをこぼすと
照は真顔のまま再びカレーを食べ始めた。
確かに、俺達の大学生活はここからが大変なんだ
こんなところでへばっている場合じゃない。




「佐久間は試験勉強してんの?」




「俺もそれが一番心配やねん
 この中で一番留年の可能性高いんやから!」





照と康二の余りにも失礼過ぎる発言に唇を尖らせる。
確かの勉強は大の苦手だけれども
実技で引っかかったことはないし、そして何よりも
俺は本番にかなり強いタイプだ。




「課題意外で勉強机座ってるところ見たことない。」





ラウールが冷めた目線を俺に向けながら言い放ったことに
照は呆れたようで、口をあんぐりと開け固まっている。
試験なんてまだ先なのにまだ勉強しなくてもいいじゃないか
それにバイトできるうちにしておきたいし、みんな真面目なんだな。




「…佐久間、いつか痛い目見るぞ。」




「実習乗り切れるか不安や。」




准看組の二人が憐みの目を俺に向けてくる。
その視線に耐え切れなくて目を逸らすと
また大きな溜息が飛び交ってきた。





「悪いことは言わん、せめて基本的な数値は覚えときや。」




「数値…?
 わかった、覚えとく。」






康二の助言に首を傾げつつ返事をすると
すっかり冷めてしまったカレーを全てかきこんだ。

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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!読んでくださって嬉しいです!ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇‍♀️ (2022年10月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、! (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして!コメントありがとうございます🙇‍♀️そう言っていただけて嬉しいです!最後まで頑張ります! (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります!どうなっていくのか楽しみにしてます! (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年9月23日 18時

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