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「もう覚悟しといたほうがいいって。」
「それって、」
「実習生に振り当てるべき患者さんではなかったって
他の患者さんに受け持ちさせてもらえるよう頼んでみるって。」
「じゃあ、康二はその患者さんから外れたんだ。」
いくら准看護師資格を持っていて
実習の経験があるとはいえ
今回の症例はじゃなり難題なものだと思う。
だからその対応は適切だと思うのだけれど
康二が学校を辞める決心をした原因ではないような気がする。
「それが理由で辞めるわけじゃないでしょ？」
「佐久間くんは何でもわかるねんな。」
「わかるよ、顔に書いてる。」
俺の言葉に康二は乾いた笑みを浮かべて
窓に向けていた視線を俺の方に移した。
「怖くなってん。」
「え？」
「人の死と向き合うことが
一つの病気、一つの薬でこんなにも人が変わって
こんなにも短期間で人が弱っていくなんて
それを間近で感じて、それでも寄り添わなあかんこの仕事が。」
こういう時、なんて言葉を掛ければいいんだろう。
やっぱりAちゃんにも来てもらった方がよかったかもしれない
必死に考えを巡らせているのに
何一ついい言葉が見つからなくて、不甲斐なく感じた。
「俺が検温しに病室行くとさ
看護師さんいつもありがとう、お疲れ様って言ってくんねん。
前までは体温計渡しただけで
毒が塗られてるとか、それで俺を刺すつもりかとか
さんざん拒否して殴りかかって来たのに。」
「それは、康二…」
「上手く言えんけど、なんか…なんかっ、」
康二の背中を擦ると
遠慮がちに体重をかけて来て
それを受け入れ抱きしめて、リズムよく背中を優しく叩くと
鼻を啜る音が微かに聞こえてきた。
「もう先が短いんやって、痛いほど感じて
そう考えたら怖くてたまらんくなって
こんな状態で看護師なんかなられへん。」
康二は優しくて、繊細で
だからこそ患者に感情移入して
本人以上に苦しんでしまうんだと思う。
患者に寄り添うことは
看護師にとって一番大切なことだと思うし
その点では、康二は看護師に向いている。
でもこの性格だと
きっといずれ潰れてしまうだろう。
「一緒に看護師なろうって約束したけど
俺、もう無理や…」
きっとこの答えを出すまでに
何度も考えて苦しんだんだろう。
そんな康二を引き留める資格なんて
俺にはあるのだろうか。
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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！読んでくださって嬉しいです！ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇♀️ (2022年10月21日 19時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、！ (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして！コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです！最後まで頑張ります！ (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります！どうなっていくのか楽しみにしてます！ (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年9月23日 18時
