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ページ30

_Meguro side_





「てめえふざけんなよ」




あいつと一緒に居た男が
俺に駆け寄って来たかと思えば胸ぐらを掴んできた。
眉間に皺を寄せつつその手を払うと
突き刺さるような視線で睨みつけて来た。




「Aは何一つ悪くない!
 遺族側の言い分は滅茶苦茶だったし
 弁護士も連れて来たけどこっちは悪くないって結論が出ただろ!」




「あんたには関係ないでしょ。」




「あるよ、大ありだ
 俺はあいつの同僚であり先輩であり親友なんだ。
 今にも消えそうだったあいつが必死に頑張って
 学生達から信頼されるぐらい立派な教員になった所を
 隣でずっと見守って来たんだよ。」




隣でずっと見守ってきた
その言葉に胸が痛んだけれど、きっと気のせいだ。





昔は俺の役目だったのに
なんて過ったのはただの思い違いだ。
あいつが逃げたことも、治療途中の子供に最後まで寄り添わなかったのも
変えようのない事実でありそれが現実だ。





「何も悪くないなら看護師を続けるべきだった
 結局あいつが医療の現場から逃げたことに変わりはない。」




「それ本気で言ってんのか、なあ!?」





怒りで顔を赤くした男が
俺に殴りかかってこようとする
でもその拳が俺に触れるよりも先に
頬に鈍い痛みが走った。




「目黒、一回黙って。」




「阿部ちゃん」





俺を殴ったのは阿部ちゃんだった。
今までも俺があいつの事を悪く言うと
なだめるように言葉をかけてきたけれど
手を出されるのはこれが初めてだった。




「本心でそう思ってるわけじゃないでしょ?」




「…、」




「もし本気でそう思ってるなら
 俺はもうめめとこうやって関わっていけない。
 Aちゃんは立派な看護師だったよ
 今だってちゃんと向き合おうとしてるはず。」





阿部ちゃんと目を合わせることも
困惑しているこの男と言葉を交わすことも嫌で
何も言わずその場から立ち去った。




結局俺も逃げてばかりなのかもしれない
いや、それ以上に卑怯で最低な事をしている自覚はあった。





「何で辞めたんだよ…っ、」





“看護師になって、もしもどちらかが
 壁にぶつかって立ち止まっちゃっても
 二人で励まし合って突き進んでいこうね。”







「嘘つき」









頭の中でこだまする言葉に
ぼやけた記憶の中で笑みを浮かべるあいつに
小さく吐き捨てるように呟いた言葉は
すっかり暗くなってしまった空へ吸い込まれていった。

第五章 自信は簡単に崩れ去る→←・



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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!読んでくださって嬉しいです!ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇‍♀️ (2022年10月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、! (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして!コメントありがとうございます🙇‍♀️そう言っていただけて嬉しいです!最後まで頑張ります! (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります!どうなっていくのか楽しみにしてます! (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年9月23日 18時

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