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「Aちゃん！」
「だから、先生ってつけて。」
月曜日の実習が終わり、Aちゃんに声を掛けると
振り返った彼女は少し疲れた顔で俺にお決まりの言葉を発した。
「康二のことなんだけど…」
康二の名前を口にすると
表情がどんどん曇っていき、嫌な予感が頭をかすめる。
そもそもまだ一日とはいえ実習を欠席した時点で
看護学生としては致命的な状況だ。
「向井くんはその…
ここだけの話、退学届けを送付してきたっきり連絡が取れなくて。」
「えっ！？」
「先生たちの間で何とか連絡を取ろうとしてるんだけど
今は二つの学科が実習中だから…。」
確かに先生たちもかなりバタバタしているし
きっと連絡を取るために割く時間も多くは取れないのだろう。
よく考えれば今日一日、教員側の雰囲気が暗くて
学生達も少し動揺していた。
「特に寮生のみんなには動揺しちゃうから黙ってたの
佐久間くんは特に仲良くしていたから
知られるのも時間の問題だと思って言ったけど、他の子には」
「わかってる、ちゃんと黙ってるから。」
「ごめんね
じゃあ早く帰って明日の実習に備えてね。」
Aちゃんの背中を見送りながら
考えるのは康二の事ばかりで
明日の目標なんて思いつくはずもなく溜息ばかりが出る。
「佐久間くんさ、その溜息なんとかならない？
疲れが余計に助長しそう。」
「ごめん。」
「…そんな素直に謝らないでよ、調子狂うな。」
俺の様子に気づいたラウールは
一度レポートの手を止めて俺が座る勉強机まで椅子を持って来た。
止まった手にちらっと視線を向けると
持っていたペンを取り上げられ、両手で顔を包み込まれたかと思えば
向きを変えらればっちりと目が合った。
「隠しごととからしくない、正直に話して。」
「何もないよ。
今日は入浴介助があったから疲れただけ。」
「…そんなに言いたくないならいいよ。」
何となく気まずい雰囲気になって
実習で使っているファイルと筆箱を片手に部屋を飛び出した。
俺は知っている、
ラウールはああ見えて繊細な所があるってこと。
友人でもあり戦友でもある康二がこの道から外れようとしていることを知れば
きっとあいつは実習どころではなくなるはずだ。
「水曜日なら、行けるか。」
学内実習である水曜日に康二の実家へ行こう。
どう転ぶことになってもいい
とにかく康二の気持ちが知りたい。
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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！読んでくださって嬉しいです！ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇♀️ (2022年10月21日 19時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、！ (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして！コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです！最後まで頑張ります！ (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります！どうなっていくのか楽しみにしてます！ (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年9月23日 18時
