第四章 一筋縄ではいかない ページ23
＿Sakuma side＿
「先輩たちから聞いたんだけど
人事異動がなければ当たり病棟だって！」
先輩からの情報を仕入れて俺達に回してくれる同期は
まるでスパイのように見える。
「一人だけ仏頂面？な人がいるらしいけど
愛想ないだけでキツイ人ではないって、
滅茶苦茶イケメンらしいよ。」
まだ会ったこともない看護師に対して色めきだつメンバーに
ただただ苦笑いを浮かべて実習前の準備を進めた。
どうやら病棟は当たりのようで
担当教員はAちゃんだから安心だし
グループメンバーも割と団結力はある方だから
後はどんな受け持ち患者が振り当てられるかが問題だ。
「この三週間は、初めての事ばかりで
身体的にも精神的にもしんどくなることがあると思うけど
私も極力フォローできるように頑張るから
みんなで最後まで乗り切ろうね。」
グループの様子を見に来てくれたAちゃんへ
メンバー達が思い思いの不安をぶつけていくけれど
その一つ一つにちゃんと対応して励ましてくれる彼女の姿に
少しだけ実習への緊張が軽くなった気がした。
ただAちゃんの様子が少し変に感じて
そこだけが気がかりだった。
「よろしくお願いします！」
学生からの挨拶に、看護師から返事が戻ってくることはない
そんな話をちょくちょく聞いていたけれど
全然そんなことはなく、よろしくお願いしますと返事が戻ってきて
辺に身構えて力の入った体がふっと軽くなった。
「今回の実習を担当します、長谷部です。」
実習担当の看護師は名札の隅に主任と書かれている。
肝っ玉母さん、と言ったら失礼かもしれないけれど
溢れ出る優しいオーラと柔らかい笑顔に
グループ全員から肩の力が抜けた。
「貴方たちにとってこの三週間は実習だけれど
此処は患者さんの生活の場で、本当の医療現場です、
危ないことや駄目な事をした場合は容赦なく怒ります。」
にこやかな表情から一変して
真剣な表情で俺達一人一人の顔を覗き込んでくる。
自然と背筋が伸び、緊張が走りつつも頷くと
また柔らかい笑顔に戻ってその場の雰囲気が明るくなった。
「じゃあ病棟の中を案内します、
その後は一台パソコンを開けておきますので
順番は自分たちで決めて情報収集をしてね。」
こうして始まった、初めての実習に
ただただ無事に最終日が迎えられますようにと願い
何処か浮足立っている自分に喝を入れるため
両手で頬を軽く数回叩いた。
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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！読んでくださって嬉しいです！ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇♀️ (2022年10月21日 19時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、！ (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして！コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです！最後まで頑張ります！ (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります！どうなっていくのか楽しみにしてます！ (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年9月23日 18時
