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「よ、顔死んでんぞ。」




万年ジャージ姿、履きつぶしたビーチサンダルで
ペタペタと足音を立て近づいてきたのは渡辺先生で
開口一番に失礼な言葉を並べる彼に溜息をつくと
無視を決め込んで再び足を進めた。




「怒んなって、今日金曜だし飲みに行こ。」




「同期の方を誘ったらどうですか。」






渡辺先生は私より五つ年上で
看護教員ではなく、一年生の時にだけ授業が存在する体育の教員。



関りが全くないというわけではないけれど、
一般教員と看護教員の関係性は薄いはずなのに
ここで働きだした時から何故か気に入られて
いつの間にか定期的に飲みに行く仲になっていた。





「飲みに行ってる場合じゃないんです、
 基礎実習がもうそろそろ迫ってるのに
 その前には戴帽式もありますし、忙しいんです。」




「息抜きも必要だろ、じゃーな。」




「ちょっと!」





どうやら強制参加らしい
断った後の拗ね具合が面倒なのはわかっているし
今日は大人しく捕まった方がよさそうだ。





「Aちゃんおはよー!」




「せめて先生ってつけて」





私が手を焼いている人は生徒側にもいる。
こちらめがけて走ってくるのは
ただでさえ男子学生が目立つこの環境下で
看護学校には似つかわしくないピンク髪が存在感を放つ佐久間大介で
学生にこんなことを言うのはあれだけれど、正直苦手なタイプの人種だ。





「だってAちゃん、俺より年下じゃん!」




「まあ、そうだけど…。」





佐久間さんは現役大学生ではない。
元々はゲーム会社で働いていたらしいのだけれど
数年前から看護師を目指すようになり
自主退職をして今年入学してきた学生だった。





年齢は渡辺さんと一緒で私より五つ上
だからやりにくさを感じるという事もあるけれど
単純に陰キャの私にとって苦手なタイプである。




「佐久間くんうるさい
 神崎先生おはようございます。」




「おはようございます、もうすぐ講義始まるから急いで。」





佐久間さんの背後からやって来たのは、現役入学の村上くんで
軽くピンク頭を叩くと首根っこを掴んで
颯爽と講義室へ入っていってしまった。





「…駄目だ、エナジードリンク買おう。」





今にも下がってきそうな瞼を無理やり上げて
両手で顔を叩くと自販機へ足を進める。
忙しいけれど看護師時代の勤務よりは幾分もましだ
誰もいないのを確認して大きく伸びをすると
気だるい気分を振り上げるため頭を大きく左右に振った。

・→←第一章 私の背中には



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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!読んでくださって嬉しいです!ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇‍♀️ (2022年10月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、! (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして!コメントありがとうございます🙇‍♀️そう言っていただけて嬉しいです!最後まで頑張ります! (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります!どうなっていくのか楽しみにしてます! (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年9月23日 18時

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