第一章 私の背中には ページ1
_you side_
小さい頃、大きな事故に巻き込まれた。
周りは目を逸らしたくなるほどの光景が広がっていて
私自身も右腕に流血が見られた。
「もう大丈夫だからね。」
優しい言葉をかけて背中を擦ってくれたのは
真っ白な服を身に纏った聖母の様な笑みを浮かべる女性で
その時確かに、天使の様な羽が見えた。
「入学おめでとうございます。」
その羽を追い求めて、私も天使になりたくて
苦手だった勉強も頑張って何とかスタート地点に立つことができた。
「大学生活の中で遊ぶ時間は貴方たちにありません
試験に落ちたらただの人、それをわきまえるように!」
入学式とは思えない、ただならぬ緊迫感と
オープンスクールで対応してくれたのは
ドッペルゲンガーが何かだったのかと疑いたくなるほどに
怯んでしまいそうなオーラを放つ先生たち。
「うちは設立当初から看護師試験合格率100%です
落ちるなんて前代未聞、ありえません!」
やっとたどり着いたスタートラインの先に見えた光景は
茨道…いや獣道、とにかく容易に歩けるものではないだろう。
もしかすると私はかなりやばいところに来てしまったのかもしれない
そう思った時にはすでに遅かった。
「で、根拠は?」
「何しにここに来たの?」
耳に胼胝ができるほど聞いた看護師からの言葉で
胃腸薬何度頼ったかは記憶にない。
返ってくることのない挨拶で一日が始まり
返ってくることのない挨拶で一日が終わる。
私達は空気、そして廊下を漂うクラゲ
いくら忙しくてイライラしているとはいえ
自分たちだって通ってきた道なのに何故優しくできないのか。
「ちゃんとこの実習で学び得たの?」
あんたに教えてもらったのは理不尽さだけだよ
なんて口が裂けても言えない。
そんな過酷な環境を乗り越え、怒涛の大学生活を終えて
無事に看護師資格を習得することができた。
あの日助けてくれた看護師の様な天使になる。
私の胸は希望に満ち溢れていて
新たなスタートラインから一歩を踏み出した。
「神崎先生おはよー!!」
大学を卒業して三年、もうすぐ25歳になる私は
あんなに憧れていた白衣を着ていない。
ナースシューズはパンプスに変わって
きつく束ねていた髪は緩くバレッタで留めている。
今の私は、あの看護師とはかけ離れていて
羽なんて一度もはえてこなかった。
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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!読んでくださって嬉しいです!ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇♀️ (2022年10月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、! (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして!コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです!最後まで頑張ります! (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります!どうなっていくのか楽しみにしてます! (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年9月23日 18時