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「あ、佐久間くんおはよう。」



「お兄さんおはようございます!」



「お兄さんって何だか照れるから
 別の呼び方がいいな…」



「じゃあ舘さんで!」



あの後お店に居ずらくなった俺は
急いでオムライスをかき込み家に帰った。


翌朝になり初出勤となった今日
少し早めに出ると舘さんも家から出て来て
方向が同じだからと一緒に歩き始めた。



「あの、Aちゃんどうですか?」



「今はうちの親が見てるから大丈夫、
 あの日は寝落ちしちゃって…ごめんね?」



「いや、そんな!
 …慣れてるんですね。」



俺がそう言うと舘さんは一瞬驚いた顔をして
でもすぐに困ったような表情になった。
高校生の時、そう彼女は言っていたから
数年はこの状態が続いているのだろう。



「Aは今22歳なんだけど
 高校三年の時に事故で両足が義足になって
 三年前からああいうことをするようになったんだ。」



「え…そう、なんですか。」



三年前、つまりは
事故に遭ってから一年後という事。
その空白ともいえる期間の中で
一体何がAちゃんを苦しめたのか。



「佐久間くんが良かったら
 また話してあげてくれないかな?」



「え?」



「昨日、Aの表情が明るかったんだ
 凄く穏やかで久しぶりにまともな会話ができた。
 どうしたのって聞いたら佐久間くんと出かけたって
 ちょっとにやけながら言うからさ。」



会って間もないというのに
いきなり足の事を聞いて
しかもAちゃんの気持ちも考えないで
義足でも泳げるなんて言い放った俺に
いい印象を抱いているとは思っていなかったから
舘さんのその言葉に驚きつつ、凄く嬉しかった。



「俺で良ければ!
 Aちゃんとは親友になれそうなんですよ!」



「そうなの?」



「勘です!」



「無鉄砲だな…
 あ、敬語じゃなくていいよ
 多分歳近いだろうし。」



心なしか初対面の時よりも表情の明るい舘さんと
この街の事やお互いの仕事の事なんかを話しているうちに
新しい職場となる建物に到着した。




どうやら職場が近かったらしく
もし帰宅時間が合えばたまに飲みに行こうと約束すると
小さく声を出し気合を入れて社内に入った。

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ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» 読んでいただきありがとうございました!!書くこと自体迷っていたお話だったのですが、書いてよかったです。次も楽しんでいただけるよう頑張ります! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ゆりあさん» ありがとうございました!凄く迷いながら時間をかけて書いたお話なので、そう言っていただけて凄く嬉しいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - こころさん» 読んでいただきありがとうございました!そう言っていただけて凄く嬉しいです! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» ありがとうございます!楽しんでいただけて凄く嬉しいです。次回も頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 名前さん» ありがとうございました!受け取りての方によって違う感じ方を楽しんでいただければと思い書いてみました。次のお話も頑張ります! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年8月10日 19時

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