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長くタクシーを走らせ周りの標識を見ると神奈川県に入っていることがわかる。
「横浜ですね。」
千佳ちゃんも不思議そうに言葉を吐く。
Aはこの街に住んでいるのだろうか。
それとも家ではないところに向かっているのだろうか。
進むほどに距離が縮み、目の前を走るタクシーは、道路脇によって速度を落とし始めた。
「同じところで降りますか。」
運転手さんにそう聞かれ、はいと答えお金を渡す。
携帯を触りながらタクシーからAが降りてくる。
千佳ちゃんと俺はすぐに出るべきかと躊躇していた。
まさかこのタイミングで会うことになるなんて考えもせずにタクシーで追いかけたが、いざ声をかけるとなると緊張した。
Aがいなくなった理由がもし自分だったらと自己防衛本能も働いているのかもしれない。
「…A！」
そう閑散とした夜の住宅街に声を響かせたのは千佳ちゃんだった。
Aはわかりやすく肩を震わせ、勢いよくこちらに振り向く。
はっ、として瞳を大きく開くと、一目散にどこかへ逃げていく。
俺たち2人も迷わずその後を追う。
「A！」
特に足の速いわけでもないAに追いつくのは簡単だった。
追いついて、腕を掴んでこちらを向かせようとするが、身体で拒まれる。
「…Aっ」
少し泣きそうな声で息を切らしながら千佳ちゃんが話しかける。
「来ないで。」
「え？」
「来ないで！って言ってるの！」
ばっと力強く腕を払われまたAは道を早歩きで歩き始める。
俺と千佳ちゃんはAのあまりにも強い言葉に驚き立ちすくんで追いかけることができない。
目で歩いていくのを見つめることしかできなかった。
「今日は帰りましょう？また出直せばいいです。」
そう千佳ちゃんに諭され大通りに帰る。
そこにはさっきまで乗せてくれていたタクシーがまだ止まっていた。
「お釣り、返して無かったから。」
そう言って窓を開けてお金を差し出される。
「東京までまたお願いしてもいいですか？」
優しい笑顔で運転手さんは扉を開けてくれた。
2人で中に乗りこんで、キラキラと照明の効いた街を見つめながら東京に帰る。
なぜか涙が止まらなかった。
窓の外の人々は楽しそうなのに。
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おおぽす(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2019年12月3日 7時) (
レス) id: ede62991bc (このIDを非表示/違反報告)
kmgapsy03(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2019年11月17日 5時) (レス) id: 70d4c7f329 (このIDを非表示/違反報告)
tvaaasn(プロフ) - とても面白かったです！！更新待ってます！！！！！！ (2019年3月15日 1時) (レス) id: 3e53db3141 (このIDを非表示/違反報告)
__st.(プロフ) - 最近、一気に読ませていただきました。ぜひまた続きを読みたいです！ (2018年8月14日 9時) (レス) id: 9b52a255d5 (このIDを非表示/違反報告)
hikari - いつも楽しみにしています。しばらくお忙しくされてるのでしょうか？またお時間あれば更新してもらえると嬉しいです！この小説が１番大好きな作品です。これからも楽しみにしています！ (2016年7月12日 20時) (レス) id: 7f4caa4992 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：M(-_^) | 作成日時：2016年3月2日 19時
