タイムチェーン -JK&TH- ３

１０４　-YG- ページ12

■ﾕﾝｷﾞside



『･････言ってくれれば、いいのにな』



納得がいかない表情で呟く彼女


やっぱあの彼氏から何も聞いてねーんだな



だったら俺もこれ以上余計なことは
言わない方がいいだろうな、野暮だし



ﾕﾝｷﾞ｢別に大して話したわけじゃないし
　そんな気にする事じゃねーだろ｣


『そうですよね･･･』


ﾕﾝｷﾞ｢そうだよ｣


『････････』



そうは言っても雲掛かる表情は
以前彼女から聞いた悩みが
明らかに晴れていない事を示している



他人事だしあんま引っ掻き回したくねーけどさ



ﾕﾝｷﾞ｢ってか、あれからどう？
　彼氏とはうまくやってんでしょ？｣



“『ユンギさんは別れた相手を
　思い出す事って･･･その、あります？』”



少し思いつめて口を開いた彼女と
あの日のユルヒたちの誤解だなんだってやり取り、

そこから察したせいか
彼女をなんとかしてやりたいなんて
兄心に似たお節介な感情が湧き上がってくる



ﾕﾝｷﾞ｢その様子だと何も変わってない？｣


『･････』



Aちゃんの揺らぐ目は
まるで“今”と“過去”を
行ったり来たりしている様に見える



少し躊躇うような間の後、



『私･･･変なんです』



彼女は小さく口を開く



ﾕﾝｷﾞ｢変？｣



彼女が真っ先に思い浮かべるのは
一体誰なんだろうか、過去？今？



『前に進まなきゃ行けないのに
　中々･･･出てってくれない』


ﾕﾝｷﾞ｢それは前に言ってた別れた彼氏？｣



コクリと頷く



彼女の心情は俺にはわかってやれないし
どうするのかを決めるもの俺じゃない



『こんなんじゃダメですよね･･･』



皮肉笑いを浮かべる心の奥からは
悲痛な叫びが今にも聞こえてきそうで



『時間はどんどん流れていくのに』



胸が、痛いわ



ﾕﾝｷﾞ｢まぁでもさ、
　無理やり進もうとしても
　それはそれでダメなんじゃねーの？｣


『･･･うーん』



考え込むように俯くと
垂れた横髪が彼女の視線を塞ぐ



彼女が前向きな意味で
未来へ進もうとしてるならいいんだけど、



『髪･･･切らなきゃ』


ﾕﾝｷﾞ｢え？｣


『切ったら過去とも決別できるかも』



それさぁ･･･

本当に前向きな意味で言ってんの？



俺にはそうは見えねーんだけど

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