桜麗華学院の〈桜国〉

3話 ページ6

とある日の事。

朝教室に行くと、いつもと雰囲気が違っていた。


「ねえねえ、ウワサの転校生って何ランクかな？」
「えっと、確かSSだったような……」
「え〜！？そんなの逆らえないじゃん、終わったぁ」

「優しい可愛い女の子だといいなぁ」
「そんなの白雪姫様で十分だろ」


そうそう、姫の羽海は白雪姫とも呼ばれているの。それに、今、大事な事を思い出したわ。

今日はココのライバル校、「華蓮(かれん)学院」から転校生がやって来るのよ。

──名前は確か、「月雪 姫香(つきゆき ひめか)」。


有名な月雪コーポレーションの娘よ。

すると、ウィーンと教室の自動ドアが開き、先生が澄まし顔で入って来た。

「おはようございます。ご存知の通り、今日は華蓮学院から転校生が来ています」

先生はドアの方を向き「どうぞ」と優しく言う。そして入って来たその人の姿に誰もが息を呑んだ。


「SSランクに入る、月雪 姫香ですっ♡よろしくお願いしまーすっ♪」

先をピンク色に染めた髪の毛。長く伸ばしたまつ毛、限界まで短くした制服のスカート、

そして教室の後ろまで香るその苺の香水。


……そう、なるほど。

「はい、仲良くしましょうね。姫香さんはCランクの田中さんの隣です、案内をしなさい田中さん」

姫香さんはふふんと嗤い、田中さんは心配そうな顔で姫香さんに挨拶をする。あちこちからBランク以上の人のクスクスとした笑い声が聞こえる。

哀れねぇ。


二つ都合が良かったのは、ここと桜国のルールを完全に理解している事、そして──

「女王様って呼ばれてるの？夜桜さん。あたし、姫香！仲良くしましょうね〜♪」

あまりに馴れ馴れしく私に接して来る事だ。


。


次のターゲット、貴方にする。

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