桜麗華学院の〈桜国〉

8話 ページ34

──Side新垣

……やあ、俺は新垣 翔真。俗に言う無気力系男子。自己紹介の時は普通の男子ぶってたけど。

「きゃはっ♪りんたろー大好き♡」
「オレもさ、姫香」

まあこの通り東雲と月雪ががったがたにラブってるから、俺は一人で花びらを探してるんだけど……

やっぱり、この学院に本物の花びらは無いよね。あらゆる所を探したけど、一つも無いんだもん。

だからこのゲームの優勝者は無し。三十分まであと十分を切るけど、他チームはどれぐらい見つかったのかな。

「やあ、新垣サン」

黒縁の眼鏡、あぁ、水琴か。心理学者の息子だったかな……？こいつも暇人だねぇ……。

「月雪サンと東雲サン、呟いてたよ？クソ真面目な新垣を捨てて、一緒に裏切り者になろうって」

心臓がどっくん、て鳴る。
あの二人、俺が花びら探してる間に組んでたのかな。

「二人で裏切り者になるなんて出来るの？」

「あぁ、さっき放送で女王様が『二人での裏切り者も可能』って言ってたから出来なくも無いよ」

そっか……、じゃあ俺が学院復帰のチャンスを奪い取れなくなるのも時間の問題かな。

「悲しそうな顔をしてるねぇ、綺麗な顔を持ってるんだから、そう言うのやめた方がいいよ」

水琴に頬を触られる。

「君にだけ教えてあげる。第一ゲームの真実」


──驚いた。やっぱりそうだったんだね。
桜の花びらなんて学院のどこにも無かったんだね。

裏切り者が現れないとゲームは終わらない……。恐ろしいなぁ、そして君は、

「俺らの敵、ジョーカーだったんだね……」

何でもっと早く気付けなかったのかな？でも、どうする事も出来なさそうだし。

「新垣サン、可哀想だから解決方法を教えてあげるよ。それは」


──君が先に裏切り者になる事。

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