桜麗華学院の〈桜国〉

19話 ページ23

その場にがくりと崩れ落ちる姫香。
さあ、楽しい悪夢の始まりよ！


次の日──あたしは大輔に呼び出されて、クリスタルガーデンに連れて来られた。

やだぁ、ナンパ？

「あのさ、伝えたい事があって……」

「あら、大輔様が告白なされるわ！」
「誰に？あぁ。魔女の姫香に？まさか！」

そう、その視線。
もっとちょーだい。もっと、もっと！

「で、何？こんなあたしに用なんて」

「じ、実は……な……」

その後に言うセリフなんて分かってる。だって、顔がそんなに赤くなってるんだもん。

ここであたしが目を潤ませたら百点だね。

「お前のこと……」

あたしが幸せになるまであと少し、逆転勝利ねっ♪



「大嫌いだ」

目の前が真っ白、いや、真っ赤に染まる。彼の表情は氷のように冷酷で、恐ろしかった。

周りは驚いた人もいれば、ザマァ見なさいって顔で見る人もいた。そっかぁ……。

「何で！？何であたしが嫌いなの！？」

気が付いた時には、大輔に抱き着いていた。最後の、いや、永遠に一緒にいるために。

「何で何で何で！？理解出来ないよっ！？」

すると、彼の強い力があたしを押し出した。そう、騎士だもん。強いに決まってる。

「お前が嫌い──？逆に好きになった事あった？」

眉をハの字にして大輔は呟く。


「あったじゃん！！舞香を虐めてた時に顔が赤かったし、それに今だって──」

あたしは大輔の手を握る。しかし、それは振り払われた。

「俺の母さんはさ、元女優なワケ。で、俺はその血を引き継いでるから、演技が上手いの」

え……？
じゃあ、今までのは全部演技だったって事？

そんな、嘘だ。嘘だ嘘だ！！
そんなあたしを横目に大輔は去っていった。

「ばいばーい、明日の裁判頑張ってね」



あぁ────。

終わった。あたしに味方はいないのか……。

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