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叔母のことは嫌いではない。
叔母は世間一般から見て善良と言える人間だったし、両親がいなくなって身寄りのない、面倒臭いと思ってしまうであろう自分を嫌な顔１つせずに引き取ってくれた。同年代よりも思考が幾分か大人びていたAはそのありがたさを充分理解していた。
それでも、所詮は他人。叔母家族を本当の家族だと信じ込めるほどAは子供ではなかったし、本物の家族のようにふるまえるほど大人でもなかった。ただそれだけなのだ。
だから、Aは実家から持ち出したギターを唯一の家族だと信じて、夜はゆっくりと帰ることを日課にしていた。
小学生なら補導されても可笑しくない時間だったとしても、生まれつきのその容姿と随分と大人びた雰囲気や話し方によって小学生だと思われることはまずなかった。普段の学校生活では同級生と馴染めない原因のそれらがAを過ごしやすくしているなんて皮肉なことだ。
だから、家にも学校にも息苦しさを覚えているAにとってこのライブハウスは心休まる数少ない場所だった。
学校からはわざわざ足を運ぶほど近くはなかったし、両親がいなくなってからは触れる機会がかなり減った音楽に身を寄せることができる。色々と、都合が良かったのだ。
ライブハウスに入ることはできたけれどしなかった。
お小遣いは平均以上に貰っていたし、このライブハウスで頻繁に演奏しているアーティストは気に入っていたけれど、聴覚の優れたAにとって他の人はドラムによる壁の振動しか感じることのできないような音も、充分旋律として耳に届いていた。何より、人より目立つ容姿を持っていることを自覚しているAは、目立つこと、人と関わることに酷く苦手意識を持っていた。
好奇の視線に、本心かも分からない薄っぺらい言葉。そして、両親が自分を置いていったという事実。その全てはAを人間不信に陥れる材料だった。
だから、それ故に、彼らとの出会いはAのそんな生活を大きく変える出来事だった。
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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» ありがとうございます〜！こちらはかなり不定期更新となってしまうと思いますが、本編共々よろしくお願い致します！ (2020年5月30日 6時) (
レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - 番外編…！ありがとうございます！！楽しみにしています！！ (2020年5月29日 23時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドーナツ | 作成日時：2020年5月28日 21時
