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「ありがとう」
Aはなんだか照れ臭くなって夜景に目を向けた。
天はそんな彼女をじっと見つめる。
夜景を眺めるその横顔は、やっぱりどこまでも綺麗だった。
「天、好きだよ」
「ありがとう」
「天は？」
わかりきってる質問。だって、そうじゃなきゃ彼女の誕生日をこんな風に祝ったりはしないから。
それでも、言葉にして欲しいと思ってしまうのだ。
「……愛してるって、言わなきゃわかんない？」
「ふふ、わかんない」
いつかの、悪戯っ子のようにクスクスと笑う彼女と目の前の彼女を重ねる。
あの時と違うのは、天たちが恋人同士ということだ。
「……大好きだよ」
「…うん。私も」
2人の視線がぶつかる。
どちらからともなく距離が縮まる。
影が、重なった。
「…これからも、ボクといてくれる？」
「私、結構一途な方だと思うよ」
だって、天のことをいつから好きなのかわからないくらい前から好きなんだから。
Aはそう言って笑った。
「…ボク以外眼中に入れさせるわけないでしょ」
「あはは、かっこいいね」
揶揄うように言ったAに、愛おしさが溢れる。
最愛の彼女に、目の前の彼女にこれ以上の愛をどうやって伝えれば良いのかわからなかった。
「…Can you feel my heart？」
天の唐突な言葉に一瞬目を瞬かせるA。
しかし、Aはすぐに微笑んだ。
「そうだな…。私は天じゃないから、天の気持ちを全て理解することはできないよ」
だけど、とAは言葉を続ける。
「天を理解しようと、寄り添うことはできる。そういう私たちでありたいとも思うよ」
流れで"できる"と言わないところが彼女らしい。
だからこそ、その答えさえも愛おしかった。
きっと、これから先には辛くて、苦しくて、息が止まりそうな時もあるんだろう。
だけど、キミと一緒ならそれでも良いと思えるんだ。
Aと天の視線がもう一度ぶつかった。
一緒にいれば幸せだから愛しているのか、一緒にいられれば不幸になってもいいから愛してるのか。
その答えは、まだわからないけれど。
目の前のキミを幸せにしたいって思ったんだ。
「…生まれてきてくれて、ありがとう」
天の突然の言葉にAは戸惑う。
けれど、その戸惑いは世界で一番幸せなものだったとAは確信を持って言えた。
Happy Birthday!!
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バルカローラ…舟歌
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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» ありがとうございます〜！こちらはかなり不定期更新となってしまうと思いますが、本編共々よろしくお願い致します！ (2020年5月30日 6時) (
レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - 番外編…！ありがとうございます！！楽しみにしています！！ (2020年5月29日 23時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドーナツ | 作成日時：2020年5月28日 21時
