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「外出てみる？」
出港までは後少しらしい。中々ない機会なのだから、この体験を満喫したいという思いで天の提案にAは頷いた。
天が重めのドアを開くと、そこから風が流れ込んでくる。
Aの伸びてきた髪が風に揺れた。
「凄い、綺麗」
暦は7月。まだ青色を帯びた空と都会の灯りのコントラストが美しい。
シフォンのドレスを風に靡かせながら柵に上半身を乗り出して海の中を覗き込むA。
心底楽しそうなAの様子に天はクスクスと笑った。
「ちょっと、はしゃぎすぎ」
落ちるよ、と天は自身の腕をAの前に回し落ちないようにと支えた。
「凄い、綺麗。魚見えた」
さっきから凄いと綺麗を繰り返しているAに天はもう一度笑った。
「魚見えたの？」
「見えたよ」
天も海を覗き込んでみるが街明かりが反射した黒い海しか見えない。
そういえば、Aはかなり視力が良いのだと思い出し自分に見えなくても無理はないと天は苦笑した。
その時、出港の合図の汽笛が流れて、船がゆっくりと動き出す。
「わ、凄い。動いた」
「船なんだから動くでしょ」
表情にこそ出ないが、Aの瞳はキラキラと輝いていて、相変わらず凄いを繰り返す彼女に、本当に楽しいんだなと天は嬉しくなった。
「そろそろ中に戻ろう。ディナーの予約してあるんだ」
少し名残惜しそうなAの表情に天はもう一度クスクスと笑った。
「食べた後も来れるよ」
その言葉を聞いたAは嬉しそうに笑った。
今日の彼女はいつもよりもエスプレッシーヴォらしい。
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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» ありがとうございます〜！こちらはかなり不定期更新となってしまうと思いますが、本編共々よろしくお願い致します！ (2020年5月30日 6時) (
レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - 番外編…！ありがとうございます！！楽しみにしています！！ (2020年5月29日 23時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドーナツ | 作成日時：2020年5月28日 21時
