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「"お、俺が好きなのはあいつじゃなくて…"」
大和の腕の中。台詞を読み上げる大和を見上げる。彼の場合、演技が上手いから読み上げる、という言葉が当てはまるほど単調な言い方ではないのだけれど。
「"……っ、お前なんだよ…"」
私の角度から見る大和は、少し顔を赤らめているような気がする。身長差があるので、正面から見れずなんとも言えないが。
これが事実だとしたら、彼の演技力には感嘆する。表情が、仕草が、街中で見かけるカップルに酷似しているから。一般的にこれが"恋をしている表情"なのだろう。
「"……嘘"」
「"嘘じゃない。…ずっと、好きだった"」
そう言って大和は私の顔を覗き込む。
台本にある通り、私は下を向いた。
「"……私もだよ"」
そう言って顔を上げて大和を見つめる。思ったより、真剣な表情をしていて少し戸惑う。
しかし、表情には出さずに大和の背中に腕を回した。
大和に顔を上に向かされ、顔が近づく。
こういうシーンは初めてじゃない。
流石にお互いアイドルだし、本格的なドラマではないからふりだけれど、キスシーンはやっぱり慣れない。
それに…。
(…天も、見てる)
この状態だと天の姿は見えないけれど、なんとなく視線を感じる。真面目な天のことだから、他の人の演技も見るだろう。
天が私にキスシーンを見られることを嫌がったように、私も正直あまり見て欲しくない。
身内だからなのかはわからないけれど、なんとなく。
監督からカットが入って大和から顔を遠ざける。と言っても、もともとかなり近かったから、普通の距離に戻っただけなのだけれど。
「…大和、顔赤くない?」
さっき思った通り、大和の顔は少し赤く染まっている。大和の演技力に目を見開いた。
「…顔を赤くする演技、どうやってするの?」
「あっ………ああ、限界まで息を止める」
「わ、凄いね」
早速試してみて、大和に赤くなったか聞いてみたが、いつも通りだと言われて少し落ち込む。
休憩に入っていいと監督から伝えられ、実緒と天と入れ替わりで端に寄る。
実緒と目が合うと手を振ってくれたので振り返した。
その隣の天を見ると目が合った。と、思ったらすぐに逸らされてしまう。
大抵天は私と目が合うと少しくらい言葉を掛けてくれるか、そうじゃないにしても薄く微笑んでくれるのに。
少しのモヤモヤを抱えて、先に休憩に入っている大和の元へ駆け寄った。
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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» わー!!!ありがとうございます…!本当に悩んでいたのでありがたいです…!いつでもいくらでもリクエストお待ちしています〜!!本当にありがとうございます!! (2020年6月11日 1時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - またリクエスト失礼してもよろしいでしょうか...? 赤面 と いつもと違う髪型 をお願いしたいです、、ふたつも無理言ってすみません(汗) (2020年6月11日 1時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 夢巫女さん» わー!いつもありがとうございます!!迷走中ですが、これからも読んで下さると嬉しいです!!更新頑張ります! (2020年6月4日 10時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - こういう作品を待っていたっ!!最初の方から読んでいましたが、感謝を伝えたくて我慢できませんでした!これからも更新楽しみに待ってます! (2020年6月3日 22時) (レス) id: a86d07998f (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - ぽんさん» わあ…!ありがとうございます!!凄く嬉しいです!更新マイペースですがこれからもよろしくお願いします〜!! (2020年5月26日 18時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年5月5日 23時