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32-3 ページ44

「おい……。こんなイケメンオーラ溢れる蕎麦屋が、存在してんの許せないんだけど……」

リビングへ行くと大和がそんな声をあげる。
そんな彼の様子を見てAは内心で突っ込んだ。大和、いるじゃないか。

「ふふ…改めて見ても楽さんに似てますね」

紡はそう言ってクスクスと笑った。
まぁ本人だからね。とAは心の中で呟いた。

「あの人は基本的に親切で情熱的な割に顔が怖いからね。誤解されやすいんでしょ」

Aの言葉に紡は頷く。

Aの楽への褒め言葉(と呼べるかはわからないが)に楽は照れたように頬を掻いた。


「…八乙女楽、好き?」


Aは紡の方を向く。
しかし、ニコニコと笑ったまま一向に言葉を発さない紡。
疑問に思いながら楽を見ると、まっすぐと自分を見据えていた。


「えっ…あ、私に聞いてる?」

「ああ」

まさか自分に聞かれているとは思わず、Aは戸惑う。
だって、彼が八乙女楽だと知っているのに、この場で自分に聞いてくるなんて思ってもみなかったから。


「好きだよ。……数少ない友人だしね」

芸能界に友人と呼べる人は少ないA。それこそ、TRIGGERとIDOLISH7、Re:valeくらいだろうか。

Aの好きだよ、という言葉で楽は嬉しそうな表情をするが、その次の言葉でまた微妙な顔に戻る。いや、なんでだ。Aは再び心の中で呟いた。


「あんたみたいな人だったら、八乙女楽も落とせるんじゃないか?」

何を言っているんだとAはまじまじと楽を見つめる。

「…楽とはそういうのじゃないよ。それに、職業が職業だしね」

蕎麦屋と楽が別人だと思わせるような言葉を探しながらそう言うA。

楽はそうか、と言い黙り込んだ。

「っていうか、私なんかじゃ八乙女楽は落とせないでしょ」

Aの言葉にいやいや、と周りは内心突っ込んだ。お前が落とせなくて誰が落とせるんだ、と。
今をときめく人気アイドルのA。その美しく儚げな容姿と、人を魅了する力強い歌声に、惹かれる者は多い。
何かと関わることが多いIDOLISH7。彼女の魅力は十分に理解している。


「……なら、ただの蕎麦屋は?」

「………?」

黙っていた楽のその言葉にAは首を傾げた。
ただの蕎麦屋も何も、目の前の彼は八乙女楽なのだから。

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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» わー!!!ありがとうございます…!本当に悩んでいたのでありがたいです…!いつでもいくらでもリクエストお待ちしています〜!!本当にありがとうございます!! (2020年6月11日 1時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - またリクエスト失礼してもよろしいでしょうか...? 赤面 と いつもと違う髪型 をお願いしたいです、、ふたつも無理言ってすみません(汗) (2020年6月11日 1時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 夢巫女さん» わー!いつもありがとうございます!!迷走中ですが、これからも読んで下さると嬉しいです!!更新頑張ります! (2020年6月4日 10時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - こういう作品を待っていたっ!!最初の方から読んでいましたが、感謝を伝えたくて我慢できませんでした!これからも更新楽しみに待ってます! (2020年6月3日 22時) (レス) id: a86d07998f (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - ぽんさん» わあ…!ありがとうございます!!凄く嬉しいです!更新マイペースですがこれからもよろしくお願いします〜!! (2020年5月26日 18時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年5月5日 23時

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