エスプレッシーヴォ 4【九条天】

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「制服久しぶりだ！！」

「私は初めて着た」

年が明けてすぐ。お正月の特番も始まり中々にありがたいことに忙しい生活を送っている。

今日はバラエティで使用される再現VTRの撮影。好きな人と両想いになった日、というシチュエーションらしく、私と実緒は制服に着替えていた。

「そっか、Aは中高と海外にいたんだもんね」

「うん。制服、憧れてたんだ」

九条さんに引き取られて天と一緒に海外で暮らしていたから、制服というものに馴染みがなかった。よく考えれば、ドラマでも学園ものに出たことがない。

「似合ってるよ！」

「ありがとう。…なんか変な感じするね」


そんな雑談を交わしていると相手役の2人が着替えて来た。


「2人とも似合ってる」


「そう？ありがとう」


「…このメンツで大丈夫か…？」


今日は私たちDólceの2人と天、大和の4人で撮影らしい。
天はいつも通りだが、大和は少し落ち着きがない。

「…大和、大丈夫？」

「いやー…若い子たちの中にこんなおっさん混じってて大丈夫？痛くない？」

「そんなに大差ないでしょ。実緒だって20歳だし」

もっと年上でも学生役する人も少なくないしね、と言うと大和の表情が少しだけ和らいだ気がした。


「じゃあ、Aちゃんと大和くんから撮影始めます！」

「あ、行こう。大和」


歩き出すと大和の戸惑ったような声が聞こえた。


「なに？」

「俺、なんで手掴まれてんの？」

大和の言葉を聞いて彼の手を見ると確かに私が手を取って引っ張っていた。


「あ、ごめん。無意識だった」

「無意識かよ…」


手を離すと微妙な顔をされる。
…そんなに手、嫌だった？

「…ごめん」

「いや、別に気にしてねえけど…」

そう言って視線を泳がせる大和。
その様子の理由がわからず、首を傾げた。

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