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30-1 ページ30

「この辺の筈なんだけど……」

夜の8時。Aはこの辺りで落としたと思われるキーホルダーを探していた。

所謂、父の形見。今は亡き父が使っていたピックのキーホルダーだった。青色のそれは光沢のある素材のため光を当てれば見つかりやすい筈なのだが。

Aはスマホのライトを頼りにかれこれ1時間近く探し回っていた。

暦は冬。元々体温調節機能の弱いAはそろそろ見つけないとまずいことになるだろうと恐れていた。

それに、人通りが少ないとはいえ夜に地を這う女性に向けられる視線は中々に鋭い。
声をかけられないということは変装が上手くいっている証拠なのだろうけれど。

とにかく、早く見つけて帰りたいのだ。
髪は乱れ、服は少し汚れてきている。比較的綺麗好きでマメな性格のA。普段の彼女なら有り得ないような格好だ。

しかし、そんな格好になっていることを気に留めないで探すほど、Aはそのキーホルダーを諦めることができなかった。

それならば落とさなければ良かったと言われて仕舞えばお終いだが、今更そんなことを考えたって後の祭りだ。

手が冷たい。でも諦めるわけにはいかない。必死になって探している時、どこからか声が聞こえた。

「てんてんー。てんてんちゃーん」

「…一織?」

「Aさん?」

「ミヤりんじゃん」

「あれ、四葉環もいるんだ」

Aの前に現れたのは環と何故か牛乳の入った小皿を持った一織。いや、どんな状況だ。


「…何してるんですか?」

「それ、こっちのセリフなんだけど」

「なー、お腹減った」

「それ今言う?」

空気を読まない環の発言にAは苦笑した。

「頂き物のクッキーで良ければあげるよ」

「マジで!?ミヤりん食わねーの?」

「私、シナモンダメなんだ」

そのクッキーシナモン入ってるみたいだから。

Aのその言葉に環は目を輝かせて箱を受け取る。

立派な箱に入っている、妙に高級そうなそのクッキーを躊躇なく開ける環に一織は呆れたようにため息を吐いた。

そして、これから人の話を聞かずにややこしくするであろう人物を最初に黙らせた彼女に感心した。この人、中々に彼の扱いが上手い。

30-2→←30 灯台の下にあるものは。



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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» わー!!!ありがとうございます…!本当に悩んでいたのでありがたいです…!いつでもいくらでもリクエストお待ちしています〜!!本当にありがとうございます!! (2020年6月11日 1時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - またリクエスト失礼してもよろしいでしょうか...? 赤面 と いつもと違う髪型 をお願いしたいです、、ふたつも無理言ってすみません(汗) (2020年6月11日 1時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 夢巫女さん» わー!いつもありがとうございます!!迷走中ですが、これからも読んで下さると嬉しいです!!更新頑張ります! (2020年6月4日 10時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - こういう作品を待っていたっ!!最初の方から読んでいましたが、感謝を伝えたくて我慢できませんでした!これからも更新楽しみに待ってます! (2020年6月3日 22時) (レス) id: a86d07998f (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - ぽんさん» わあ…!ありがとうございます!!凄く嬉しいです!更新マイペースですがこれからもよろしくお願いします〜!! (2020年5月26日 18時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年5月5日 23時

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