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「失態って……」
「失態でしょう。キミはアンコールに出られなかった。ファンに未完成なものを披露した。プロとして、仕事を全うできなかった。違う?」
天の言葉に陸は黙り込んだ。何も言い返せなかった。
Aはそのことを深く考えてはいなかった。
Aにとって、言い方は悪いが自分が全てで、他人に関しては無関心であった。他の人がどんなミスをしようと自分には関係ないし、干渉する理由もなかったから。
同じ完璧主義な天とAだが、そういう意味では同じではなかったのかもしれなかった。
「天、言い過ぎだ。何か事情があったんだよね?怪我はライブにはつきものだよ」
「そうだよ。連絡先くらい、黙って教えてやれ。弟なんだから」
天の冷たい言葉を龍之介と楽が咎める。しかし、天は外野は黙ってて、と一瞥した。
「外野はそっちでしょう」
一織の言葉に天は黙り込む。
その通りだった。天にとって、陸という存在がいなければ、IDOLISH7の事情なんて関係ない。事実、天は自分から彼らに不満をぶつける時は、必ず陸に対してだった。
「行きましょう、七瀬さん。気にすることはありません」
でも、という陸の瞳は不安げに揺れていた。
「いいから」
一織はそう言って陸の腕を引いて歩き出した。
天がどんな表情をしているのか、Aにはよくわからなかった。
☆☆☆
「それでは、リハーサルお願いします!」
既にリハーサルを終えたAは喉を温めようとペットボトルの温かいお茶を開けようとした。
しかし、ディレクターの声でその手を止めた。
「…陸くん、具合悪そうだけど大丈夫?カメリハだから、休んでてもいいよ。ADさんに立っててもらうから」
「いえ!大丈夫です……っ」
ディレクターの言葉の通り、陸は目に見えて不調そうだった。息は上がって、声は掠れていた。
「リク、休んでろ。この後本番もあるんだから」
大和の言葉に大丈夫、と返す陸だが、咳をしている。明らかに大丈夫ではないだろう。
Aはお茶を荷物に戻して、IDOLISH7たちの元へ歩いた。
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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» わー!!!ありがとうございます…!本当に悩んでいたのでありがたいです…!いつでもいくらでもリクエストお待ちしています〜!!本当にありがとうございます!! (2020年6月11日 1時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - またリクエスト失礼してもよろしいでしょうか...? 赤面 と いつもと違う髪型 をお願いしたいです、、ふたつも無理言ってすみません(汗) (2020年6月11日 1時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 夢巫女さん» わー!いつもありがとうございます!!迷走中ですが、これからも読んで下さると嬉しいです!!更新頑張ります! (2020年6月4日 10時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - こういう作品を待っていたっ!!最初の方から読んでいましたが、感謝を伝えたくて我慢できませんでした!これからも更新楽しみに待ってます! (2020年6月3日 22時) (レス) id: a86d07998f (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - ぽんさん» わあ…!ありがとうございます!!凄く嬉しいです!更新マイペースですがこれからもよろしくお願いします〜!! (2020年5月26日 18時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年5月5日 23時