第15話 “壁” ページ16
お互いに何も話さない時間が続いた。
突然、リオが松田に問うた。
「最近、ゼロと仲良いよね。入学早々、喧嘩してたくせにさ」
リオは、今日の掃除の時間に松田が降谷と仲良くする姿を見たことを思い出したのだ。
そして正直に言えば、彼らを見て、少し複雑な感情を抱いていた。
降谷と諸伏と最初から仲良くしていた自分が、あの輪に入ることも出来ず、置いていかれたような気がしたから。
寮も違えば教場も違う。
それは“性別”という越えられない壁があるから仕方ないとわかっていても寂しかったのだ。
そして警察学校に入学して2人と話せる時間が減っていった。
「仲良い……、まあ、な。アイツ意外とチャレーから」
「チャラいぃ? ゼロが?」
「ああ」
後ろを歩く松田の隣に行って顔を覗けば、少しだけ頬が赤くなっていることに気がついた。
「照れるとか…キ──」
「さっきからキモい言い過ぎなんだよ!」
「ははっ、ごめんごめん」
先ほどまでの堅苦しい空気とは一変、2人は楽しそうに笑っている。
2人を離れさせていた“壁”のような何かは、壊れたようだ。
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作者名:リオ | 作成日時:2023年3月31日 11時