13 ページ13
Youside
翌日、病室で山田と話をした。
山田「わざとじゃないんだ、、ほんとに転げ落ちただけで…」
『……うん、わかってる。』
山田「ごめん、迷惑かけて。」
『酷いのは、私。はっきり言っとくべきだった。
もう一緒には居れないって。
ほんとは…仕事の合間に貴方に会うのが苦痛だったの。
でも…行かずに、冷たい女だって思われるのも嫌で…
別れを言う勇気もなくて、私には貴方が重荷だった。
それだけ自分が酷い人間だと思いたくなくて…
それで距離を置いてたの、ごめん。最低だよ、私。
私は…貴方の母親になんかなれない。』
山田の背中や腕を拭きながら話し続けた。
『食事、トイレの世話、24時間…貴方の為には使えない。
私は…私の人生の方が大事。』
「ははっ…言うね、もう後5年しか生きられない人間に…」
『もしこのまま一緒に居たら私は、
きっとその5年を長いと感じるようになると思う。』
山田「そっか。」
『ごめん、酷いよね。』
山田「昨日来たのはさ、会場がここの会場だったから。
ひょっとしたらAに会えるんじゃないかって。
いや、ほんとはどうしても会いたかった。
もうAが俺に会いたくないっていうのはわかってたけど、
嫌がらせだよ…怖いんだ、俺。
このまま死んで、何も無かったようにされるのが怖いんだ。
自分の生きた証をAに残しておきたい。
消えない傷をAに残しておきたい。
ほんとは、ぐちゃぐちゃにしてやりたいんだよ。
俺と同じ苦しみを、お前にも味あわせてやりたい。
憎まれてもいい、お前にはずっと…覚えてて欲しいんだ。
俺とAと、ついでに颯ちゃんも…」
私はもうそれ以上何も言えなくて、病室を飛び出した。
94人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:反町ゆうり | 作成日時:2023年11月29日 8時