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Aside




「だから誰かがここから侵入した可能性はないと思います。」




「じゃあこのドアはどうなんだよ。椎名の部屋は、
この向こうだよこっから出入りできんだろ。」




「それもないよ。」




「はっ?」




はじめちゃんが代わりに答えてくれる。




「椎名さんの部屋と百日紅の間をつなぐこのドアは、
釘で打ち付けられてる。あの短い間で、
椎名さんがこのドアを蹴破って出入りすることなんてできっこないよ。」




「ってことは…。」




「「ここは完全な密室だったんだ/よ。」」




「じゃあ森村を吊るしてたのは…。」




「鬼火だよ。あの青年も…鬼火によってどこかに連れて行かれた。」




塚原さんが真面目な声で言うけど、鬼火なんてそんな話、
人が殺されてるのに信じると思うの?




「ちょっと待ってよ、鬼火だか何だか知んないけど、
そんなもんで人が死ぬわけないでしょ。」




「何もわかってない!この島の鬼火は、お前達医者を心から憎み、
恨み、その怨念がお前達に天罰を下しているのだ。
医者を恨む人々の怨念がね。」




塚原さん、相当鬼火とか怨念とかに拘ってる…拘るには、
それ相応の理由があるってこと?




「とにかく、こうなってしまった以上は研修合宿は中止だ。
すぐに東京に帰ろう。」




「それは無理です。」




「えっ?」




「この台風では迎えの船は来ません。」




「だったら警察呼んでください。ヘリとか。」




「先ほど、通報しましたが台風が落ち着くまでは船もヘリも出せないと。」




「えっ!じゃあ、僕たち、この島に閉じ込められたってことですか!?」




「残念ながら。」




「すみません。僕気分悪いんで、部屋で休ませてください。」




そりゃ、そうだよね…色んな事件巻き込まれるわで、
椎名さんも研修医の人達と色々大変そうだし。

▽→←▽



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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年3月7日 20時

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