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Aside
なのに私…はじめちゃん、ごめん…怖かったからって、
はじめちゃんの話をろくに聞かずに勝手に怒って。
「そうだ、やっぱり昨日鍵穴から見た光景は本物だったんだよ。
誰かが森村を吊り上げてた。そいつが、あの部屋から死体を投げ落とした。
そうだろ!?」
「誰かって誰?顔は見たの?」
「いや、後ろ向きだったから顔は見てない。でももう一人、
確かにあの部屋に誰かいた!なぁバイト、お前も見たよな?」
「でも…。」
「でも?なんだよ見たんだろ?はっきりしろよ!」
「落ち着いてください!
はじめちゃんはこう見えて、頼りになるんです。」
「このビビり君が?」
「はじめちゃんとAちゃんはあの金田一耕助の孫で、
双子の兄妹なんです。これまでに色んな難事件を解決してきたんです。」
「じゃあ聞かせてみろよ。ビビり君達の考え。」
美雪ちゃん…私のことは言わなくてよかったのに!
はじめちゃんと顔を合わせたけど、私は顔を横に振る。
「じゃまず、俺と加藤さんが見た光景についてもう一度確認しましょう。
午前0時。俺は百日紅の間の鍵穴をのぞいて、
窓の外を飛んでいる鬼火らしき光と森村さんの首吊り死体が、
入院着を着た何者かによって引き上げられてるのを見た。
その後、鍵を開けてこの部屋に踏み込んだ時には、
鬼火はおろか、森村さんの死体も入院着を着た何者かの姿もなかった。
つまり、俺と加藤さんが鍵穴をのぞいた後、2〜3分で死体も人も、
霧みたいに消えたことになる。」
「君達が見た光景が本物ならね。」
百日紅の間から移動して、メインの部屋に到着。
「塚原さん。この島には他に住人がいるんですか?」
「今、島にいるのはここにいる私たちだけです。」
「もう一つ。食堂にある鍵はずっと置きっぱっすか?」
「はい。皆さんにお渡しした鍵とは別に、スペアキーが常時、置いてあります。」
塚原さんが見してくれたスペアキーを確認する。
今現状はちゃんと、全部の部屋のスペアキーがある。
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年3月7日 20時